ならば、悪女になりましょう~亡き者にした令嬢からやり返される気分はいかがですか?~(試し読み)
リズムは完璧で、足を踏んでしまうのではないか、踏まれてしまうのではないかという心配をする必要もまったくなかった。これほど巧みな踊り手に出会う機会も少ない。
最初のうちは他の人の目が気になっていたのが、すぐにそれも消え失せた。
楽しい。こんなにもダンスが楽しいと思ったのは、初めてかもしれない。
多数の人が踊っているフロアを滑っていきながらも、この世界にふたりしかいないのではないかと錯覚してしまうほど、彼の目はアウレリアだけをとらえていた。
それに気づけば、背がぞくりとする。彼の行動がなにを意味しているのか、予想もできなかった。
「まだ速くなっても大丈夫か?」
「問題ありません……ええ、大丈夫です」
音楽が激しいものに切り替わっても、エルドリックはまったく焦らなかった。
右、左、と巧みにステップを踏み、アウレリアを回転させ、少し離れてはまた引き寄せる。
ふたりの位置を入れ替えたかと思えば、再びアウレリアをくるりと回し、そしてまた新たなステップへと導く。
こんなにも自分の足が動くのかと、アウレリア自身驚いてしまうほどだった。
いつまでも、こうしていられればいいのに。
最初のうちは他の人の目が気になっていたのが、すぐにそれも消え失せた。
楽しい。こんなにもダンスが楽しいと思ったのは、初めてかもしれない。
多数の人が踊っているフロアを滑っていきながらも、この世界にふたりしかいないのではないかと錯覚してしまうほど、彼の目はアウレリアだけをとらえていた。
それに気づけば、背がぞくりとする。彼の行動がなにを意味しているのか、予想もできなかった。
「まだ速くなっても大丈夫か?」
「問題ありません……ええ、大丈夫です」
音楽が激しいものに切り替わっても、エルドリックはまったく焦らなかった。
右、左、と巧みにステップを踏み、アウレリアを回転させ、少し離れてはまた引き寄せる。
ふたりの位置を入れ替えたかと思えば、再びアウレリアをくるりと回し、そしてまた新たなステップへと導く。
こんなにも自分の足が動くのかと、アウレリア自身驚いてしまうほどだった。
いつまでも、こうしていられればいいのに。