傷心女子は極上ライフセーバーの蜜愛で甘くとろける
 それでも喉の奥には苦い後味が残っていて、プールではしゃぐ気分には到底なれなかった。

 そんな凪の沈んだ気分を、漣は言葉にせずとも察してくれたのだろう。プールサイドのレストランでランチを終えると、漣はスパでボディトリートメントを受けることを提案してくれた。
 
 個室で二人、横並びでうつ伏せになりながら背中のマッサージを施される。老廃物と一緒に体を巣食っていたモヤモヤも流れていくよう。
 チラリと漣の方を見ると、彼も凪を見つめていた。その視線がやけに優しくてくすぐったい。互いに微笑み合いながら、甘やかな時間はゆったりと過ぎ去っていった。
 
 ホテルのラウンジで軽いディナーを少し早めに取り、外へ出る頃には辺りは黄昏に染まっていた。漣が送ってくれるというのでそれに甘えて彼の車で帰路につく。
  
 有名な国産メーカーのハイブリッド車に備え付けられていたのは、座り心地の良い革調のシート。
 元々振動が少ない車種なのだろうが、加えて漣の運転テクニックが素晴らしく、ほとんど揺れを感じなかったために助手席に座っている間、何度かウトウトしてしまった。
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