『後姿のピアニスト』 ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
 棺の中に花と思い出の品が入れられた。
 男は彼女と二人で写った写真を手にし、あっちへ行っても一緒だからねと呟いて、彼女の胸の上に置いた。
 そして、左手薬指のペアリングを抜いた。
 すっと抜けた。
 細くなった指が痛々しかった。
 胸が締め付けられて堪えられなくなった。
 棺にすがるように腰を落とした。
 声を上げて泣いた。
 
 ………

 
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