『後姿のピアニスト』 ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
 泥のように眠って目覚めた翌朝は、眩しいくらいの光が窓から降り注いでいた。

 いい旅になりそうだね、

 机の上の彼女にウインクを投げた。
 
 ホテルを出て、到着ロビー近くの4番ゲートに向かった。
 10分ほどでエアポートバスが到着した。
 行先は中央駅前広場脇のルイージ・ディ・サヴォイア広場。
 空港からの距離は約50キロ。
 50分ほどで着くという。
 料金は往復で14ユーロ。
 窓際の席が空いていたので、そこに腰を下ろした。

 君が見たかった歴史的建造物までもうすぐだからね、

 広い窓から見えるのどかな田園風景を彼女に見せながら話しかけた。
 その後は暫くボーっと景色を見ていたが、ミラノの街中へ入ると、歴史を感じさせる建物をあちこちに見かけるようになった。

 そろそろだ。

 彼女の写真を内ポケットにしまって、到着を待った。

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