『後姿のピアニスト』 ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
いつものように二人が見送ってくれました。
漕ぎ出すと、「お気をつけて」という温かい声が後姿に向かって追いかけてきました。
ペダルを漕ぎながら右手を上げて手を振ると、二人が大きく振り返してくれるのを背中が感じ取りました。
幸せいっぱいの気分でペダルを漕ぎ続けました。
低速ギアから1段ずつ高速ギアに上げていきました。
スピードが増すにつれて頬に当たる風が冷たくなりましたが、寒いとはまったく思いませんでした。
却って心地よく感じたくらいです。
すれ違う自動車やバイク、歩行者の誰もがわたしの自転車を見ているようで、ちょっと自慢気にペダルを漕いでしまいました。
アパートが見える角まで来たので、ギアを低速にして、スピードを落としました。
その減速がとてもスムーズだったので頬を緩めながら角を回ったのですが、「あっ」と声が出て、思わずブレーキをかけました。
見覚えのある後姿がドアの前に立っていたからです。
母でした。
間違いなく母でした。
また来たのか、と嫌な気分になりました。
自転車を止めて、建物の陰から様子を窺いました。
漕ぎ出すと、「お気をつけて」という温かい声が後姿に向かって追いかけてきました。
ペダルを漕ぎながら右手を上げて手を振ると、二人が大きく振り返してくれるのを背中が感じ取りました。
幸せいっぱいの気分でペダルを漕ぎ続けました。
低速ギアから1段ずつ高速ギアに上げていきました。
スピードが増すにつれて頬に当たる風が冷たくなりましたが、寒いとはまったく思いませんでした。
却って心地よく感じたくらいです。
すれ違う自動車やバイク、歩行者の誰もがわたしの自転車を見ているようで、ちょっと自慢気にペダルを漕いでしまいました。
アパートが見える角まで来たので、ギアを低速にして、スピードを落としました。
その減速がとてもスムーズだったので頬を緩めながら角を回ったのですが、「あっ」と声が出て、思わずブレーキをかけました。
見覚えのある後姿がドアの前に立っていたからです。
母でした。
間違いなく母でした。
また来たのか、と嫌な気分になりました。
自転車を止めて、建物の陰から様子を窺いました。