『後姿のピアニスト』 ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
自転車を買ってから、用がなくても隣町のリサイクルショップに行くようになりました。
オーナー夫妻はプライベートに土足で入り込んでこなかったので、安心して付き合うことができたからです。
何回か通った後、意を決して、それまで口に出せなかったことをお願いしました。
「こちらで働かせていただけませんか?」
人柄に惚れ込んでいたので、仕事をするならこの店でと思っていたのです。
でも、二人は同時に困ったような顔になって、目を見合わせたまま首を傾げていました。
「ダメ、です、か……」
恐る恐る声を出してみたものの、空気がどんどん気まずくなっていくような感じがして、最後は尻切れトンボのようになってしまいました。
「ダメじゃないんだけど……」
ご主人が困ったような顔をしたまま腕を組んで奥さんに視線を向けると、意を汲んだ奥さんが申し訳なさそうに口を開きました。
それは店の現状についてでした。
開店してやっと1年を乗り切ったばかりで経営はまだ軌道に乗っているとは言えないこと、
家賃の支払いと借金の返済でいっぱいいっぱいなこと、
だからとても人を雇う余裕がないこと、
そんなことをぽつりぽつりと話してくれました。
その後は言葉が途切れて何かを考えるような表情になりましたが、「店が軌道に乗ったらね」と言ってご主人に目をやりました。
ご主人はすぐに頷いて、「そうなったら真っ先に声をかけるからね」と言ってくれました。
「ごめんなさい、無理なお願いをして……」
顔を見ながら頭を下げると、二人は同時に強く首を横に振りました。
そして、今まで通り気楽に遊びに来て欲しいと優しい言葉をかけてくれました。
オーナー夫妻はプライベートに土足で入り込んでこなかったので、安心して付き合うことができたからです。
何回か通った後、意を決して、それまで口に出せなかったことをお願いしました。
「こちらで働かせていただけませんか?」
人柄に惚れ込んでいたので、仕事をするならこの店でと思っていたのです。
でも、二人は同時に困ったような顔になって、目を見合わせたまま首を傾げていました。
「ダメ、です、か……」
恐る恐る声を出してみたものの、空気がどんどん気まずくなっていくような感じがして、最後は尻切れトンボのようになってしまいました。
「ダメじゃないんだけど……」
ご主人が困ったような顔をしたまま腕を組んで奥さんに視線を向けると、意を汲んだ奥さんが申し訳なさそうに口を開きました。
それは店の現状についてでした。
開店してやっと1年を乗り切ったばかりで経営はまだ軌道に乗っているとは言えないこと、
家賃の支払いと借金の返済でいっぱいいっぱいなこと、
だからとても人を雇う余裕がないこと、
そんなことをぽつりぽつりと話してくれました。
その後は言葉が途切れて何かを考えるような表情になりましたが、「店が軌道に乗ったらね」と言ってご主人に目をやりました。
ご主人はすぐに頷いて、「そうなったら真っ先に声をかけるからね」と言ってくれました。
「ごめんなさい、無理なお願いをして……」
顔を見ながら頭を下げると、二人は同時に強く首を横に振りました。
そして、今まで通り気楽に遊びに来て欲しいと優しい言葉をかけてくれました。