初恋愛-ハツレンアイ-
ビクリと体を強張らせ、言葉も発せずにいると、ベッド脇の椅子に座っていたやっちゃんが立ち上がり、ベッドに横になっている凛の方を向いてニッコリ微笑むと、そっと頭を撫でて『じゃあね』と優しく言い、扉の前で固まっている健の方に歩いてきた。
そして、横を通り過ぎながら、チラリと健の方を見て『大丈夫ですよ。』
口角を上げて小声で言うと、一緒に病室に入って来たタクの腕を掴み、

「ほら、行きますよ。」

そう言って、有無も言わさず『え?何、ちょっ…』?ハテナ一杯で口走るタクを引きずり扉の向こうへと消えて行った。

扉が閉まり、一気に静まり返った二人きりの病室…
< 160 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop