初恋愛-ハツレンアイ-
エレベーターに乗り、三階の自分の部屋の前まで足早に来て

「凛…」

声を掛けると、袋を片手に体操座りして俯いていた凛が、パッと顔を上げ嬉しそうに

「あ、お帰りなさい。」

言うと、立ち上がり、少し申し訳なさげに

「あの…ごめんね急に、
それに私、管理人さんに勝手に…」

その言葉を遮り

「うん、聞いた。
気にしなくていいから。取り敢えず中入ろう。」

そう言ってドアを開けると、凛は安心した顔で
「うん!」と言って部屋へ入った。


着替えて、麦茶を飲んで一息つきながら、凛を待たせた事を詫びると、

「何も言わずに来た私が悪いから…

今日会議って言ってたから、健疲れて帰って来ると思って、何かスタミナのあるもの作ってあげたくて来ちゃった。」

そう言うと凛は、グラスの麦茶をコクリと飲んで、俯き加減のまま大きな瞳だけをこちらに向けて
微笑んだ。
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