転生したら恋愛小説で悲劇のヒロイン~私は死にたくありません~
一限目を始めるベルが鳴り響くと、一人の男性が入って来た。

リリーが一限目は歴史と教えてくれたので、歴史の講師だろう。

その男性は入って来るなり皆に向かって話しを始めた。
初めて見るジュリアに気づき、自己紹介をしてくれたようだ。

「私の名前は、ルイス・エドワード。歴史の授業を担当する。わからないことは何でも質問してくれ。」

すると、少し離れた席に座ったイザベル達から、信じられないような可愛い声が聞こえて来たのだ。

「先生、よろしくお願い致します。」


ルイス先生は確かに目を引くような美しい男性だった。
グレーで光沢のある髪を後ろで一つに束ねている。
眼鏡をかけているが、その奥には睫毛の長いアーモンド形の瞳。
鼻筋も高く繊細な雰囲気を醸し出す美男子だった。
恐らく歳もアレックス様くらいだろう。
ロングの白衣を着ているが、長身の彼にとても似合っている。

イザベル達が可愛い声を出すのも納得できる。


しかし、授業が始まると、そんなことは考える余裕がなくなった。
歴史の授業はかなり覚えるのが困難な内容だった。
隣国を含め、この地方の国々の歴史を覚えなければならないようだ。
先生はわかりやすく説明してくれるが、これはかなりの難関だ。

確かに王族であれば、他国の王族とも関ることが多くなるだろう。
その国の歴史を知らないと、会話中に失礼な発言をしてしまうかも知れないのだ。
ジュリアは一生懸命にノートに書きこんでいた。

授業が終わり、ノートとにらめっこしながら難しい顔をしているジュリアにルイス先生が近づいて来た。


「君がジュリア嬢だね。アレックス王太子より聞いていたよ。大切な婚約者をよろしくとね。」


ジュリアが驚きの表情を向ける。


「アレックス様が仰っていたのですか?」


するとルイス先生はケラケラと嬉しそうに笑い出した。


「そんなに驚かないで欲しい。アレックスとは小さい頃から学校も一緒で腐れ縁なんだ。よろしくねジュリア嬢。」


「は…はい。」


ルイス先生がアレックス様と親しい間柄なのは驚いたが、ジュリアは今それどころでは無かった。
ジュリアを後ろから睨むイザベルの視線が痛すぎる。
恐らく話している内容は聞こえていないようだが、ルイス先生と話をしていることが許せないのだろう。



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