悪徳公爵の閨係~バツ5なのに童貞だなんて聞いてませんッ!~
 だからお気になさらず、と全力の笑顔に込めて伝えるが、私の笑顔をどう捉えたのか、パッっと公爵様も笑顔になる。

「なるほど。勝手に使うのが嫌なら俺と行こうか」
「えぇえっ!?」

“どうしてそうなっちゃったの!?”

 私は手持ちのお金で身の丈に合ったものを買うと言ったつもりなのに、何故か公爵様をお財布として持ち歩く流れになって冷や汗がドバッと出た。
 
「お手を煩わせる訳には!」
「それくらいの時間なら作れる」
「ダメです! 公爵家の人々は口が固くても、外では誰が見ているかわかりませんし!」

 邸の敷地内で会うことすら躊躇ったのだ。
 それが外になるとなれば余計だろう。
 
 だが、私のその言葉に公爵様は首を傾げる。
 
「俺の評判なんて今更だろう。それに、サシャは仕事を頑張っているだけだ。誰にも文句は言わせない」

 娼婦は仕事だ。
 仕事柄、確かに下に見られることもあるしそれは仕方ないと思っていた。
 そしてその考えが、当たり前なのだと思っていたけれど。

“まさかそんなことを言ってくれるだなんて”
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