過去夢の少女
☆☆☆

4時間目の移動教室の時間、私と恵は腹痛を起こしたことにして欠席をした。

ふたりそろっての欠席で怪しまれるかと思ったから、朝学校に来るまでにアイスを飼い食いしたと嘘をついた。

普段真面目な生徒で通っている私達に先生は苦笑いを浮かべて、保健室に行くように促しただけだった。

だけど、私達はもちろん保健室へなんていかない。
「待った?」

誰もいないはずの1年A組の教室へ戻ってきてそう声をかけると、河村結夏がビクリと体を跳ねさせた。

河村結夏はすっかり私達におびえていて、特に脅す必要もないくらい従順に動くようになっていた。

自殺セットがそれほど恐ろしかったんだろうか。
そう思うと内心笑えてくる。

「よ、用事って……?」
体を縮めて伺うようにこちらを見つめてくる河村結香に一歩近づいた。

すると相手は一歩後退する。
「ちょっとね。やってほしいことがあってさ」

また一歩近づく、一歩遠ざかる。
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