過去夢の少女
「あ、あの……あたしとペア組んでくれないかな?」
普段大人しい河村結香にしては頑張って声を上げたほうだと思う。
だけど3人は聞こえなかったふりをして練習を続けている。

「あ、あの」
それでも必死で声をかけていたときだった。
「痛っ!」

と、恵が声をあげてうずくまった。
「恵!?」
私は慌てて恵に駆け寄る。

恵は右手を左手で押さえながら、チラリと私へ視線を向けた。
「先生! 恵が突き指しました!」

私が大きな声で言うと、あちこちから心配そうな声が聞こえてくる。
「大丈夫? 保健委員はいる?」

先生が保健委員を呼ぶ前に「まだ決まっていません」と、すかさず答えた。

「あらそうなの? じゃあ仕方ないわね。保健室へ連れて行ってくるから、練習を続けてて」

先生はそう言うと恵を連れて体育館を出ていく。
その寸前に恵が振り向き、ウインクしてみせたのだった。
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