過去夢の少女
「……被害者ぶりやがって」
つい、口について出てきてしまった。

まるで自分が悲劇のヒロインにでもなったかのように泣いている姿がイラついた。
本当に悲しい気持ちになったのはお前じゃない。
私のお母さんだ。

お前が今こうしてイジメられているのは当然の結果なのに、泣くような権利だってないのに!!

歯を食いしばり、一歩前にでた。
そして怒りを込めてボールを投げつける。

そのボールは一直線に河村結夏へ飛んでいき、それは頭部にぶつかって音を立てた。

……テンテンテン。
跳ね返ったボールが床にバウンドしながら転がっていく。

河村結夏が頭を抱えて横倒しに倒れこみ、動かない。
それでも体が震えているから、意識はあるんだろう。

いっそ気絶するくらいの勢いでやってもよかったけれど。
「やるじゃん、あんた」

派手グループのひとりが楽しげな声で言い、倒れ込んだ河村結夏へ向けて再びボールを投げつけ始めたのだった。
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