国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
私が辺りを探すと、女性が数人の男性に囲まれている。




後から思えば、愚かだったと思う。




それでも、私の体は咄嗟に女性を庇うように動き出していた。





「貴方たち、何をしているの」






「ああ? なんだお前」






「貴方たちには関係ないわ」





たったその一言で、気づいたら目の前の男性が腕を振り上げた。

咄嗟に目を瞑っても、避けることは出来なくて。






パシッ。





痛さを感じないまま目を開けると、前にはクロルが立っていた。






「マリーナ様、ご自身の立場を考えて行動下さい」

「クロル、どうして……!」

「マリーナ様とクラヴィス様の身分でお二人だけで街を歩かせるわけには行きません。護衛がいて当然です。少し離れた場所から見ていました」

クロルはそう言いながら、目の前の男性の腕を振り払った。

周りの男性たちがクロルを睨んでいる。

しかし、クロルとの力の差は見ればわかるほどで、男性たちは舌打ちをして離れていく。

クロルはその間に絡まれていた女性に事情を聞いていた。

しばらくしてクロルが女性と離れ、私に近づいてくる。

「彼女は偶然ぶつかって、ただ絡まれただけのようですね。家族が近くにいるようなので、そのまま帰しました」

「分かったわ。ありがとう」

「マリーナ様」

クロルの声が低く下がったのが分かった。


「もう一度言います。ご自身の立場を考えて下さい。助け方など他にたくさんあるはずです」


クロルの叱責は止まらない。



「良い加減にして下さい。どれだけ肝を冷やしたとお思いですか」

「貴方の護衛として許せることと許せないことがあります」



クロルは昔から私が無茶をすると厳しく怒ってくれた。
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