花のような恋だから
1章
廊下を颯爽と並んで歩く二人の男女がいた。

夏服の短いシャツの袖からほの白い腕を覗かせるー城崎(しろさき)有梨花(ゆりか)ーはその美しい瞳を伏し目がちにしながら、隣にいる彼女よりも幾分か背の高い男子生徒に話しかけている。

男子生徒ー黒谷翠(くろやすい)ーは有梨花の話を聞きながらふふっと微笑み口元に手を当てている。
艶のある日光に反射する黒髪は無造作ながらも彼の端正な顔をより際立たせていた。

有梨花と翠の歩いた道には花が咲いたかのごとくきらめいた雰囲気が立ち込めて、すれ違った生徒たちは学年関係なく、教師までもが必ず二人に視線を吸い取られ振り向かずにはいられなかった。

周りにいる者たちは二人が放つオーラに凄むのか道を譲るようにして、少し離れたところを通っていく。

二人の行く先にも通った道にも花道のようなものが自然と出来上がっていた。

要するに城崎有梨花と黒谷翠には華があるのだ。
しかも人並み外れた。



「城崎先輩と黒谷先輩ってお似合いだよねー。」

遠くとも近いとも言えない距離から二人を見つめる女子生徒は声をひそめて呟く。

「それにあの二人幼馴染なんでしょ。二人とも花のような上品さ。額縁にでも飾りたいぐらいだわ」

そばにいたもう一人の女子生徒が付け足す。

その女子生徒の声がやや大きかったのかもう一人はしーっと彼女の口を慌てて抑えた。

「絶対付き合ってるよねー。美男美女カップルって感じ」

その声音は妬みも嫌悪も一切感じさせない純粋な憧れを含んでいるように思われた。

嫉妬する隙さえ与えない圧倒的な何かが城崎と黒谷にはあった。


城崎と黒谷は華やかな容姿と人を惹きつける独特のオーラからかいつも学園の噂の渦中の人だったのだ。




「あ"あー!!!ときめきが欲しい…」

城崎有梨花はその可愛らしい桃色の唇からは想像もできないほど干からびて、野太い声を上げた。

全生徒が羨む眉目秀麗、城崎有梨花は意外にもときめき(・・・・)の枯渇を嘆いていた。

周りの生徒は皆、二人から一歩下がるようにして二人を眺めているのでそれには気づかない。

「お前まじでその声やめろ。聞かれたらどうすんだよ」

翠の切れ長の目から冷たい視線が有梨花のつむじへと向けられる。

翠と有梨花は自分達が他の生徒に憧れの的として思われている事を知っていたし、その築き上げたイメージをできるだけ壊さないようにしていた。

有梨花は顎を上げ翠を睨み返した。

「だって、高校に入って半年も経つのに出会いも恋もないじゃない」

彼女は目を不機嫌に染めたまま口を尖らせた。

その堂々たる振る舞いから勘違いされがちだが、
有梨花と翠は今年入学した伝統ある☆☆高校の一年生だった。

「ていうか避けられてるし…」

憧れの花の高校生活に期待を膨らませ入学したのはいいものの、出会いと呼べるものは一切なし。

「なんかみんな近寄ってきてくれない…私、何も悪いことしてないのに…」

「怖がられてんじゃね」

冗談まじりに翠が言った。 

「正直、外面のゆりは完璧すぎて怖いんだよ」

翠にその言葉そっくりそのまま返したい気分だったが我慢する。

「やっぱり私にはソウタ様しか…」

有梨花はそう言いかけるとスマホの電源をつけてロック画面にうっとりとした眼差しを落とした。

画面の中には光を浴びながらマイクを持って歌う男性アイドルのキャラクター。

通称ソウタ様。

そう誰もが羨眉目秀麗、才色兼備な城崎有梨花はときめきの枯渇に嘆いているばかりでなく重度のオタクでもあった。

「こないだ見逃したライブ映像も見ないと…」

「お前こないだもそれ見てなかったか?」

翠は呆れ口調だ。

「ゆりはさ、俺じゃダメなわけ?」

突然、翠がポケットに手を突っ込んだまま有梨花の顔を覗きこんでくる。

彼の瞳と有梨花の瞳が直線上で重なった。

翠の瞳は純度の高い黒でよく見ると深い青が差されていることがわかる。飴玉みたいに丸くて、艶々と光るその瞳が私は何気に好きだった。

有梨花の粉雪を思わせる白い頬が紅潮したのも束の間。

「え、無理。翠と付き合うとか考えられない」

彼女は眉一つ動かさずに真顔で答えた。

声のトーンも寂しいぐらいに抑揚がなく一定だ。

翠とは兄妹同然に育てられてきたのだ。
付き合うなんてとてもじゃないが考えられない。とでも言いたげに。

翠は意表を突かれたように、口をつぐむ。

「翠とは長く一緒にいすぎたのよ、きっと。裸でお風呂なんて何回入ったことか…」

彼女は細い指を複雑にからめて、過去を回想している素振りをした。

「それ幼稚園の頃。何年前の話だと思ってんの…」

翠は呆れて、やれやれと首を振った。



「翠は家族みたいなもんなの!」

何かに宣言するように高らかに言った。

翠は家族よりも大切な存在かもしれない、と言いながらふとそんな思いが頭をかすめた。

しかしそんな殊勝な考えもすぐに頭から消えてしまう。

「あと、アンタ女たらしだし余計に無理」

前よりもさらに声を大きくして言った。

「今は彼女いなくて寂しいのかもしんないけど私にそんな面白くない冗談言わないでねー」

有梨花は翠より少し前に進むとひらひらと手を振った。

「すいーっ!!」

後方から勢いのある声が近づいてくる。

声が途切れたと同時に一人の男子生徒が翠の肩に勢いよく腕をまわした。

ここまで走って来たからか、足の勢いは止まらず翠を道連れにするように少し前まで踏み出してしまう。

「お前なぁ…」

体勢を崩された翠は不機嫌そうに男子生徒をねめつけた。

「ごめん、ごめん」

「姫じゃんー久しぶりだね」

その青年はいつものように有梨花に笑いかける。

(ほたる)くん。近所に住んでるのに全然会わないよね」

翠とは対照的な金色がかった髪をー梶田蛍(かじたほたる)ーは揺らして辺りをきょろきょろと見回す。

「あれ(べに)は?」

それを聞いた途端、有梨花はあっと声を上げた。

「今日紅ちゃんとお昼の約束してた!」

慌てた声で言うと

「ゆりー」

声に反応し有梨花が振り返るやいなや、翠は彼女の方めがけて何かを軽く投げた。

翠の手から離れたそれは美しい弧を描いて、宙を飛ぶ。

一方の有梨花も持ち前の反射神経で静かにそれを掴んだ。

「お前が欲しいって言ってたパン。おごりな」

「ありがと!やっぱ持つべきものは幼馴染だね〜」

有梨花の屈託のない笑顔に翠の頬が少し緩んだ。

翠と蛍に手を降って、彼女は足早に去って行く。

「恋人ってよりはベストコンビ、相棒って感じ。息ぴったりすぎだし」

遠ざかる背中を見つめながら蛍はぼそっと呟いた。

「また姫にフラれたんだろ?」

蛍は嬉しそうに唇を歪めている。

「何だよ。面白いかよ」

蛍の悪趣味は今に始まったことではないので慣れている。翠は落ち着き払って聞き返した。

「いや〜あの黒谷翠を眼中に入れてない女子がいるなんてね。それが姫なのも納得だけど」

「ま、せいぜい頑張れよ。応援してるぜ王子サマ(・・・・)

悪友は今日も一段と嬉しそうだ。







「ゆーちゃんはさ。彼氏つくんないの?」

お弁当を二人で食べながら他愛ない話をしていた。

紅ちゃんは私のことをゆーちゃんと呼ぶ。

普段、寡黙でクールな彼女がそんな愛らしい名で私を呼んでくれるなんて幼馴染みの特権だ。

「予定はないです」

手を前にかかげてお断りのポーズを作る。

「私のこと好きな人なんているのかなー。まあ外面がいいのは自信あるけど…」

「中身知ったら幻滅しちゃうだろうし」

お弁当を食べ終わった私は翠にもらったパンに手を伸ばす。

「案外ゆーちゃんが気づいてないだけかもよ?」


「私はね、いるよ。好きな人」

紅はそう言って笑った。紅の色素の薄い顔が心なしかか切なく光る。

華を全身にまとっている有梨花とはまた違う美しさが彼女にはあった。

寡黙で必要以上は喋らない紅は地味だといえばそうなるのだが、見つめてみると吸い込まれてしまいそうな造形美を放っている。

有梨花は媚びない彼女の生来の美しさがとても好きだ。

「紅ちゃんは恋愛とかと無縁だと思ってた…」

「蛍くんはまあ遊んでそうだよねー。蛍くんのこと好きな女子もいっぱいいるし」

「あんなやつ好きな女子の気が知れない」

紅は時々毒を吐く。そしてこう付け足す。

「翠は?」

少し考えてから、有梨花は指を顎に当てた。

「翠はモテてるんじゃない??元カノも…いるかな…」

それから有梨花は黙りこくって何も返事をしない。

紅は隣で女子にしては大きめのおにぎりを頬張っていた。





放課後、有梨花は足早に学校を出て行くべき場所へと向かった。

アニメグッズのショップから有梨花は出てくる。

「買ってしまった……」

出口の自動ドアが開くタイミングが微妙に遅くて軽くつまずいてしまう。

後ろを振り向くと一応人はいないらしく、ふぅと一息して胸をなでおろした。

両手には溢れんばかりのソウタ様関連グッズがある。ビニール袋を提げている左の手首には真っ赤な痕がぐるりと半周していた。

今日も買ってしまったと有梨花は自分に嫌気がさした。

しかし罪悪感はない思わず笑みがこぼれてくる甘い嫌気だ。

夕焼けの空から視線を下ろす。

ふと見た道の先に見覚えのあるシルエットを遠くに捉えた。

近づきながら目を細め、耳をすます。聞き覚えのある甲高い三種類の声色が耳に届いた。

有梨花の呼吸が一瞬止まる。

学校帰りなのだろうか制服を着た同じクラスの女子三人がこちらに向かってきていた。

足がぴたりと半ば強制的に止まった。

そうしたのも束の間、有梨花はとっさに身を隠し、反対方向へと歩みを進めた。

品行方正な「城崎有梨花」が2次元アイドルのグッズを大量購入していることがクラスメイトに知れ渡ったらそれでこそ学校中の噂になるあことは間違いない。それだけは絶対に避けたかった。

そこまで作り上げたイメージにこだわらなくてもと思われるかもしれないが、グッズを少し買っているくらいならまだ可愛いものである。

今の私は世間で言われる「多い」を遥かに上回る、通行人も目を凝視させるほどの量のグッズを買い漁ってしまっていたのだ。

私が彼女たちだったならこの光景を見てドン引きする自信がある。

それに先程から通行人も視線がやたらこちらに向けられているのも感じ取っていた。

足を前に出すたびに、有梨花は鼓動が一段と大きくなっていくのを感じた。

その有梨花の全身を打つ鼓動一つ一つが手足の先まで響いている。

脇目も振らず有梨花はただただ歩き続けた、

どんっと突然。体がなにか大きいものにぶつかったのを感じる。

その反動で私は後ろへと跳ね返される。

見ると前には治安の悪そうな風貌をした男が三人。

真ん中の男は中肉中背。その男を挟んでいる二人の男は小太りである。

「何急にぶつかってきてんだア」

目つきの悪い真ん中の男が脅すように言った。

めんどくさいことになったなと頭の中でやれやれと首をふる。不思議と恐怖は感じなかった。

自分で言うのも何だが私は肝が座っているのだ。

「兄貴にぶつかるとは何事だア」

小太りの部下らしき男の一人が野次を飛ばした。

真ん中の男はしばらく私を見つめていた。そして意外そうに言う。

「でもお嬢ちゃんかわいい顔してるじゃないか」

少し筋肉のついた太い腕が私の下へと伸ばされる。

喧嘩沙汰覚悟で腕を払いのけようとしたそのとき。


後ろから突然肩を掴まれ、背中に温もりを感じると同時に何かがのしかかってくるような重みも感じた。


「失礼。俺の彼女に何か用?」

声を聞き、振り返ると翠がいた。有梨花は一瞬驚いて目を見開く。

翠は如何にもわざとらしくニコリと微笑みながら、有梨花の肩に腕を回した。

翠の落ち着いた瞳は天敵を威嚇する獣も同然のものだ。なんだか矛盾しているけれど。

翠の気迫に気圧されて男たちはたじろいだのか、有梨花たちから数歩後ずさった。

翠のにこやかな笑みが突然途切れたように侮蔑の表情に変わることがある。

怒りでも笑うでもないその底知れない何かを感じさせる美しい表情に男たちは更に震え上がった。

そうしている間に有梨花の中でスイッチが切り替わるような感覚があった。

「翠。もういいわ」

凛とした芯の通った声が有梨花から放たれる。

先程までは可愛らしい少女だった有梨花はまるで大袈裟だが一国を統べる「女王」のようだ。

「ありがと。翠。あなた達もこれからは気を付けて女の子には接するように」

長いまつ毛を伏せながら有梨花は丁寧ゆっくりと、それでいながら威圧感を含んだ声で男たちを諭した。

一見すると丁寧で優しい物言いだが、その中には思わず彼女にひれ伏してしまうような凄みがある。

「すみませんでした!!!」

男達は青ざめた顔で素早く深く頭を下げた。

有梨花と翠は満足そうに男たちを見上げる。

「城崎さん…?黒谷くん…?」

突然、後ろから聞き馴染みのある声が聞こえてきた。

振り返るとスカートを短く着こなす女子三人がきょとんとした顔でこちらを見ている。

先程、有梨花が逃げるようにして側を離れた同級生達だった。

「あ…やば…」

有梨花の口から思わず声が溢れる。翠はすぐさま有梨花の口をふさいだ。

彼女達は有梨花達と男ー正確には大量のアニメグッズ(・・・・・・)を持った有梨花と二人に向かってひれ伏す男達ーとを交互に視線を這わせている。

最悪の展開に顔を歪ませた有梨花だったがすぐにいつもの城崎有梨花を取り戻す。

気づけば翠も先ほどまで男達に向けていた冷酷な表情は消え、にこやかな笑みの仮面をかぶっていた。

「こんなところで奇遇ね。この人達のことは気にしないで。じゃあまた明日学校で」

有梨花は手短に言葉を済ませると呆然と立つ彼女達に一礼してその場を離れた。若干足早に。

数分間は歩いただろうか。後から付いてくる翠に有梨花は言葉を漏らした。

「何とか取り繕ったけどバレちゃったかな…」

「お前が引く程のアニメオタクだってことを??」

翠は目を細めて笑いながら有梨花に問いかける。

「別にそれぐらいバレたってゆりはいつでも綺麗だろ」

「えっ…」

有梨花は目を目開いたと同時に驚きで声にもならない声が口から突いでた。

「それより…」

殊勝な翠の態度に驚いたのも束の間、何か面白いものでも見つけて、からかうような口調で彼はほくそ笑んでいる。

「…お前性格変わりすぎだろ…」

「ちょっ…何それ!」

好奇の目でこちらを見てくる翠に少し腹が立つ。

「やっぱ翠がいると強気でいられるというか…」

有梨花は顎に手を当て、うんうんと自分で自分を納得させるように言う。

二人は自信に満ち溢れ微笑むお互いを見つめあうと息ぴったりに手を重ね合わせハイタッチをした。

空気を突くような軽快な音が二人の耳に響いた。

「まあ今のとこは、ゆりが幸せならいいや…」

翠は愛しいものー宝物ーでも見つめるような目を隣で歩く華奢な少女に向けた。








夕暮れが降り注ぐ屋上のフェンスにもたれかかりながら紅は目をつむっていた。

「こんなところで何してるの?」

突然、後方から声がして長い間閉じていた瞳を開く。

紅はゆっくりと声のする方ー蛍ーへと向き合った。

「疲れたから昼寝してた」

抑揚が少ない細いながらも澄んだ声で紅は答える。

「紅は相変わらず不思議ちゃんだなあ」

蛍は嬉しそうに苦笑した。蛍のその表情見て心が少し緩むのを紅は感じる。

幼馴染だからだろうか。小さい頃から変わらない一見穏やかな笑みをまとった偏屈な男を見ると理由もわからず安心してしまう。

「ねえ…」

紅は気だるげな声を発する。

「どうしたの?」

微笑しながら蛍は紅の顔を見つけみた。

「有梨花と翠って…」

紅は言いかけた。言いかけたところで止まった。

蛍が突然言葉の中に入り込んできたからだ。

「不自然だよね」

先ほどまでの嘘くさい明るさは消え、冷たく少し残酷な笑顔で凛とした声がはっきりと落とされた。

「蛍もそう思うよね、だってあの二人…」

そう言い、紅の脳内に浅く口づけを交わす二人の姿が反芻(はんすう)された。

確か、あれは有梨ちゃんのお母さんのお葬式(・・・)の日。

細長い月が燦然と輝く夜、お葬式が終わり帰路についていた紅はそれを目撃したのだ。

夜道をうつむきながら帰る紅はふと人影を見つけ視線を上げた。

有梨花と翠だ。

しかし二人はいつもの二人とは違っていた。

翠は有梨花の頬をつたう涙をぬぐうと優しく彼女にキスを落とした。

有梨花は紅に背を向けていて紅に気づきはしない。

その光景に一瞬戸惑いその場を動けないでいると、有梨花の肩越しに翠と目があった。

ー周りは暗いはずなのにいつもよりしっかりと見て取れる青みがかった瞳ー

翠の瞳は戸惑いも驚きもせずに真っ直ぐなままだった。

それどころか挑戦的とも思える視線を紅に向けてきたのだ。

いつも明るく人に囲まれて優しくそれでいて少し冷めているいつもの翠とは違うどす黒い何かがある。紅は悟った。

しかしそうなったのも一瞬。翠はまるでその事を気にしていないかのようにその視線を柔らかい愛しさを含むものに変え瞳の焦点を有梨花に戻した。

「しかも二人はそのことをなかったことにしてるだろ。不自然なくらいに」

唐突な蛍の声が紅を過去を振り返ることから現実に引き戻した。

「翠…アイツに関しては自分で気づいてんのか知らないけど姫に相当執着してるしね」

そう言うと蛍は紅の黒髪の毛先を柔らかく掴み一瞬にして離した。

「紅の髪は綺麗だね」

呟くように言った。蛍は昔から距離が近い。

一番の女たらしは翠じゃなくてコイツなんだよな…

「やめてくれない…?」

眼光を重く鋭く光らせながら睨みをきかせると、ごめんと笑う蛍を無視した。


2人は決して恋人にはなろうとはしない。

今にも壊れそうな友情という名のガラスの上をずっと歩き続けている。


恋人(・・)ねぇ…」

濃淡の異なる茜色が作る空には微かに夜の気配が佇んでいる。

紅はどこからともなく運ばれてくる心地よい風にまた目を閉じた。



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