さようなら
「メリーゴーランドだね!」


「そう、メリーロランド」


「ゴーランドだよ」


「ローランド!」


「ハハハハッ!

葵は本当に可愛いなぁ。


そりゃ!もっと高く漕いでやる!」


「すごーい!」




一言一言が楽しかった。


少しでもたくさんの事を

話したかった。


話せば話すほど、自分の事を

父に知ってもらえるような

気がした。





「葵!」


「ママ…」



母が来ると悲しくなった。


それは、父と「バイバイ」を

しなければいけないからだ。


私はまだまだたくさん父と

遊びたかった。


だから私は駄々をこねた。



「まだあそぶ!」


「もう夕方だから、帰ってご飯だよ」


「いやだ!パパと遊ぶ!」


「また今度遊べるんだから」



母とこんなやりとりが続いた。


するといつも父が私の所に来て、

「葵、今日はバイバイしよう。


バイバイは、また会って

楽しく遊ぶ為にバイバイ

するんだよ。


今日これでバイバイすれば、

次はもっとたくさん遊べるんだよ。


もっともっと、楽しく遊べるから」



私は「うん」と頷く。



「葵はお利口さんだね。


また必ず葵を迎えに来るからね。


またブランコ乗ろうね」



父は笑顔で私の頭を優しく撫でた。


私も笑顔になった。



ただ、その時は笑顔になれたけど、

少し経つとやはり悲しくなった。


父と一緒に居たかった。


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