さようなら

私が中学入学と同時に

両親が新しくマンションを買い、

引っ越しをした。


同じ市内ではあったが、

中学校は全く知らない人たち

ばかりだった。


周りの人たちは同じクラスに

数人は知り合いた。


しかし、私は誰も知り合いが

いなくて、最初のうちは

一人ぼっちだった。


毎日、学校に行くのが嫌で、

仕方がなかった。


そんなある日、私は夢を見た。


本当の父の夢だった。


父とブランコに乗って、


お話しをしていた。


何の話しをしていたのかまでは

分からなかったけれど、


とても楽しかった。


最後に父は私を抱きしめて、


「葵は可愛くて、お利口さんだから

きっとたくさんのお友達が

出来るからね」

と呟いた。


私は目を覚ました。


とても気持ちがいい朝だった。


今までは朝起きると胃が
痛くて

30分は起きる事が出来なかった。


しかしその日は何故か

全く痛くなかった。


朝食も食べていなかったが、

その日はやけにお腹が空いていた。


朝ご飯を食べる私を見た母は

驚いて、ポカンと口を

開けていたのを覚えている。


学校に着いた私は、

教室のドアを開け、

「おはよう」と言った。


すると、みんなが私に

「おはよう」と言ってくれた。


そして一人の女の子が私に

話し掛けてきてくれた。


その女の子は今でも一番の

仲良しの、真紀だった。


それから私は毎日真紀と

一緒に居た。


毎日が楽しくて仕方がなかった。


しかしそれ以来、私は本当の

父の事を毎日考えるようになった。


夢で見た事を思い出し、

「どんな人だろう…

会ってみたいな…」と

思うようになっていった。