夜空に月光を。
夕方になって、翠に連れてきてもらった所は、薄路地を進んだところにあるバーだった
翠は「初、ひとりじゃ絶対来るなよ」と言いながら、慣れたように従業員用の扉のようなところへ入っていった
なんか、こわい、、かも
無意識に翠の服の端を握る手に力をいれていた
「初?こわい?」
そう覗き込まれたけど、連れてって!と私から頼んだ手前、怖いなんて言えずにフルフルと首を振る
すると翠は、いつもみたいに優しく微笑んで大丈夫だから、とポンと私の頭を撫でた
薄暗い通路が長く感じる
キィィと音を鳴らして翠が扉を開けるとそこには、黒を基調としているけど、暗さは感じさせずにむしろ明るいようなすごく綺麗な部屋が広がっていた
「あれ?居ないじゃん
ちょっと待ってれる?」
さっきまでの怖さなんてもう感じずに、私は翠の言葉に頷いた
「すぐ戻ってくるから」
そう言って再び扉に手をかけた彼の背中を見送って、私は部屋の中を見渡した
壁一面に綺麗に並べられた瓶に、長くてキレイなカウンター、その後ろに広がる揃ったテーブルやイス
なんだか落ち着く空間だった
「君が初ちゃん?」
後ろから投げかけられた声に私は肩をビクつかせた
「ごめん、驚かせちゃったね
はじめまして!ここのオーナーの松倉颯です」
振り返ると、爽やかな笑顔で手を差し出すすらっとした長身の男の人がいた
「は、はじめまして、!月宮…初です」
そう言って私は、差し出された手を握った
翠が探しに行ったひと、かな、?
そう思ってキョロキョロしていると、颯さんは笑って言った
「翠のこと、信頼してるんだね」
話し方も笑い方も穏やかな人だな
一緒にいるだけで周りの雰囲気があったかくなって、心地いい
ちょっと翠とは違ったタイプだけど、つくりだす雰囲気みたいなのが似てるかも
「僕は、翠の保護者みたいなものでね
今はあんなんだけど、小さい頃はずっと泣いてたな、」
ずっと泣いてたって、
そんなん普段のヘラヘラしてる彼からは想像もつかない
「今の姿からは想像もつかないでしょ」
颯さんはそんな私の思ったことを見透かしたように言った
「はい
いっつも翠は明るくて、こんな私なんかを助けてくれて…
色んなこと教えてくれて…
翠はたくさんくれるのに私は翠に何も出来なくて…」
「ふふっ十分すぎるくらい初ちゃんは翠にあげてくれてるよ」
「え?」
「初ちゃんと出会ってから、翠は変わったよ
なんかね、やわらかくなった
今まで俺に恩をずっと感じてて、ここの仕事だって休んだことも遅刻だってしたことがなかったような義理堅くて真面目な男だったんだよ
なのに、少し前にちょっと守りたいやつ出来たから、何日か休ませてって連絡きてさ」
「え…私の、せいだ」
私が翠の家に入り浸ったりしたから、翠は今まで休んだこともないような颯さんのお店を休ませちゃったんだ
「ちがうぞ?」
その声と一緒にぽんと頭の上に手が置かれた
私の心をあたたかくする、大好きな手だった
「翠!」
私がそう名前を呼ぶと、翠は私を見てふふっと優しく微笑んだ
「俺に雑用やらせて、勝手に初と会って困らせてないでくださいよ」
「ははっごめんな?初ちゃん
でも俺は嬉しかったんだ
翠がそんな連絡くれて」
「うるせー」
翠と颯さんの会話を聞いていたら、なんだか心があたたかくなって、家族っていいなって思った
「初、俺ちょっと店手伝ってくるけどどーする?
ここで待っててもいいし、まだ怖かったら家送ってく」
「ううん、ここにいたい」
こわいって思ってたの、やっぱりバレてたんだ
私に選択肢をだして優しく決めさせてくれる、翠
すごく私にはもったいないくらい優しいな
私が返事をすると、翠はニカッと笑って「もうすぐお客さん来ると思うから端の席座ってて」と言った
私、お店にいていいのかなと思いつつもカウンターの一番端の席にちょこんと座った
颯さんと目が合うと微笑んでくれて、ここに座ってていいんだと安心した
なんだか、あったかいな、この空間
翠は「初、ひとりじゃ絶対来るなよ」と言いながら、慣れたように従業員用の扉のようなところへ入っていった
なんか、こわい、、かも
無意識に翠の服の端を握る手に力をいれていた
「初?こわい?」
そう覗き込まれたけど、連れてって!と私から頼んだ手前、怖いなんて言えずにフルフルと首を振る
すると翠は、いつもみたいに優しく微笑んで大丈夫だから、とポンと私の頭を撫でた
薄暗い通路が長く感じる
キィィと音を鳴らして翠が扉を開けるとそこには、黒を基調としているけど、暗さは感じさせずにむしろ明るいようなすごく綺麗な部屋が広がっていた
「あれ?居ないじゃん
ちょっと待ってれる?」
さっきまでの怖さなんてもう感じずに、私は翠の言葉に頷いた
「すぐ戻ってくるから」
そう言って再び扉に手をかけた彼の背中を見送って、私は部屋の中を見渡した
壁一面に綺麗に並べられた瓶に、長くてキレイなカウンター、その後ろに広がる揃ったテーブルやイス
なんだか落ち着く空間だった
「君が初ちゃん?」
後ろから投げかけられた声に私は肩をビクつかせた
「ごめん、驚かせちゃったね
はじめまして!ここのオーナーの松倉颯です」
振り返ると、爽やかな笑顔で手を差し出すすらっとした長身の男の人がいた
「は、はじめまして、!月宮…初です」
そう言って私は、差し出された手を握った
翠が探しに行ったひと、かな、?
そう思ってキョロキョロしていると、颯さんは笑って言った
「翠のこと、信頼してるんだね」
話し方も笑い方も穏やかな人だな
一緒にいるだけで周りの雰囲気があったかくなって、心地いい
ちょっと翠とは違ったタイプだけど、つくりだす雰囲気みたいなのが似てるかも
「僕は、翠の保護者みたいなものでね
今はあんなんだけど、小さい頃はずっと泣いてたな、」
ずっと泣いてたって、
そんなん普段のヘラヘラしてる彼からは想像もつかない
「今の姿からは想像もつかないでしょ」
颯さんはそんな私の思ったことを見透かしたように言った
「はい
いっつも翠は明るくて、こんな私なんかを助けてくれて…
色んなこと教えてくれて…
翠はたくさんくれるのに私は翠に何も出来なくて…」
「ふふっ十分すぎるくらい初ちゃんは翠にあげてくれてるよ」
「え?」
「初ちゃんと出会ってから、翠は変わったよ
なんかね、やわらかくなった
今まで俺に恩をずっと感じてて、ここの仕事だって休んだことも遅刻だってしたことがなかったような義理堅くて真面目な男だったんだよ
なのに、少し前にちょっと守りたいやつ出来たから、何日か休ませてって連絡きてさ」
「え…私の、せいだ」
私が翠の家に入り浸ったりしたから、翠は今まで休んだこともないような颯さんのお店を休ませちゃったんだ
「ちがうぞ?」
その声と一緒にぽんと頭の上に手が置かれた
私の心をあたたかくする、大好きな手だった
「翠!」
私がそう名前を呼ぶと、翠は私を見てふふっと優しく微笑んだ
「俺に雑用やらせて、勝手に初と会って困らせてないでくださいよ」
「ははっごめんな?初ちゃん
でも俺は嬉しかったんだ
翠がそんな連絡くれて」
「うるせー」
翠と颯さんの会話を聞いていたら、なんだか心があたたかくなって、家族っていいなって思った
「初、俺ちょっと店手伝ってくるけどどーする?
ここで待っててもいいし、まだ怖かったら家送ってく」
「ううん、ここにいたい」
こわいって思ってたの、やっぱりバレてたんだ
私に選択肢をだして優しく決めさせてくれる、翠
すごく私にはもったいないくらい優しいな
私が返事をすると、翠はニカッと笑って「もうすぐお客さん来ると思うから端の席座ってて」と言った
私、お店にいていいのかなと思いつつもカウンターの一番端の席にちょこんと座った
颯さんと目が合うと微笑んでくれて、ここに座ってていいんだと安心した
なんだか、あったかいな、この空間