ありふれた恋の始まりから終わりまで

好きだと思ったんだ

2月9日
自分の部屋でアニメを流しながら、彼のLINEを開いてメッセージを送った。
「バレンタインあげたいんだけど、貰ってくれますか」


なぜそんな行動力があったのか聞かれると困ってしまう。私もよくわからない。でも、何か吹っ切れたのだ。
今までは同じゼミで英語の授業も一緒だったから、もし断られたら私が気まずくて、私の中の何かが許せなくて。でも授業も終わって、もし断られたとしても関わりはないだろうからと。
諦めにも似たようなもので、なんだかどうでも良くなってしまった。あたって砕けてこようと思った。
世間のバレンタインのふわふわとした雰囲気に流されたところも正直ある。
それでもLINEのメッセージを送るのは勇気が必要で、何度も文字を打っては消した。
部屋にある勉強机の前の椅子の上で体育座りをして、文字を打っていく。清水の舞台から飛び降りるとはこのことかと思った。

女は度胸よと結局LINEを送ったのは、アニメのエンディングが流れる頃だった。

「貰えるのなら喜んで」


彼から返信が来たとき、私はひどく安心した。
よかった嫌われてない、受け入れてくれたと。
彼に何を作ろうか。
「バレンタイン 異性」で検索をして、調べていく。
ラッピングも買いに行かないと。

「吉祥寺駅に15時集合でどうですか」
「了解です」

結局マカロンを作った。マカロンには「特別な人」という意味があるらしいから。でも、半分くらい失敗してしまったからホットケーキミックスでチョコケーキも追加で作った。
その後、自転車で100円ショップに行った。バレンタインの時期でたくさんのラッピンググッズが並ぶ店内で私は悩んだ。それも20分くらい。
男の人にあげるならピンクとか可愛いデザインじゃなくて、シンプルで持ってても恥ずかしくないものがいいかもしれない。
紙袋の色は黒と紺色ならどっちがいいんだろう。
散々悩んで透明なラッピングの袋と黒色の紙袋を買った。
レジに行く途中、小さなメッセージカードが目に止まったからそれも買った。
家に帰ってからラッピングをした。家族にばれないようにね。
それからついでに買ったメッセージカードの封を開けて少し考える。

「2人で遊びに行きませんか」
そこまで書いてから紙袋に入れるか一瞬悩んだけれど、結局ラッピングした袋の下に入れることにした。
明日の洋服はどうしよう。
明日の天気は曇りだったから少し暖かい格好をしよう。
そう思って、自分の部屋の引き出しをあさる。
上は白いニットにするかベージュのニットにするか悩んでベージュのニットにした。
下はスカートにしようかな。ロングスカートかミニスカートどっちが可愛いかな。寒いかもだしと黒のマーメイドスカートに決めた。
バッグは黒のショルダーバッグで、靴は白のショートブーツ。
彼のことはただ気になってるだけ。そう自分に言い聞かせて準備をした。
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