男性不信のお姫様と女性不信の王子様はカボチャ姫を愛す

王子様の憂鬱

久しぶりにエレノアに会えたというのに……エレノアの顔はやはりカボチャのままだ。

ーー母上に抱きつかれてキョトン、、とした父上の言う可愛い顔も私には分からない……カボチャだからだ。

ーー私がエレノアの為に準備した部屋を、どれ程にエレノアが喜んでいたのかも分からない……カボチャだからだ。

ーースカイを肩に乗せ、はしゃぐエレノアが嬉しそうにしている顔も分からない……カボチャだからだ。

エレノアがこのままずっとカボチャのままだったらどうする……?
もし私の気持ちを受け入れてくれたとしても、カボチャのままエレノアと結婚するのか?

カボチャのままだとキスはどうする……カボチャにキスするのか?
カボチャのままだと……よ、よ夜の営みはどうする……カボチャを抱くのか!?

ーー私は何をバカなことを考えているんだ……

もしカボチャのままでもエレノアであることに違いないのだから愛せる!!

あぁ……またバカなことを考えている……

私はこんなにもバカな男だったのかッ!!
そういう問題ではないだろう!!
私はエレノアの顔が見たいんだ!!
全ての表情を!!
エレノアの澄んだ空のように美しい瞳を見つめたいんだ!!
カボチャのままでは絶対にダメなんだッ!!!!

エレノア……どうして君はカボチャ姫のままなんだ……

ーーコンコン、、

「アレクシス様、いらっしゃいますでしょうか? エドモンドでございます」

またか……エドモンドはいつも私が一人で考え事をしたい時に必ず現れるな。

「入ってくれ」

ーーガチャッ、、

「失礼いたしますぞ。いや〜〜アレクシス様、久しぶりのエレノア姫との再会はどうでございましたか?」

「どうもこうもカボチャだッ!!」

「はっ? カボチャッ!? 何を仰っているのです?」

「こっちの話だ、気にしなくていい……」

「…… そうでありますか。いや〜〜先程キャロライン様が明日はジョセフ王子とエレノア姫を、王都の王室御用達ブティックへと連れて行くようにアレクシス様に仰っていましたなーー」

「あぁ、舞踏会での衣装を母上がジョセフ王子とエレノアにプレゼントしたいらしい」

「それは良いではないですかーー。舞踏会で美しく着飾ったエレノア姫をしっかりエスコートされるのですよ!!」

「わかっている。ちゃんとエスコートもするし、エレノアにはファーストダンスを一緒に踊ってもらいたいと思っているんだ……」

「ほぅ、ファーストダンスは特別ですぞ!! 頑張ってアピールせねばっ」

「そうだな。ファーストダンスか……。そんなもの今までどうでもよいと思っていたが、心寄せる相手がいると何もかもが今までとは違う。世界観が変わるものなのだな……」

「…… もうそれは愛しているということではないですか!! 誰かに奪われてしまう前に早く想いを伝えるのですよ!!」

「そうか……。私は好きをも超えてもう愛してしまっているんだな…… カボチャ姫を……」

「カボチャ…… ? カボチャがなんですとっ!!!?」

「いや、こっちの話だから大丈夫だ……」

舞踏会の日にエレノアに想いを伝えよう。
エレノア……それまでに君がカボチャではなくなるように強く念ずるよ。

ーーエレノアはカボチャではない!!!!









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