男性不信のお姫様と女性不信の王子様はカボチャ姫を愛す
カボチャ姫御一行ウェンスティール国へ帰る
この私が無理に食事を口に放り込む日がくるとはね……胃の調子がおかしくなりそうよ。
さぁエマが帰り支度を整えて待っているでしょうから、早く部屋に戻らなきゃ。
朝食を終えダイニングを後にし部屋へと急いで歩いていると、
「エレノアッ、待ってくれ！！」
アレクシスが私の腕を掴んで呼び止めた。
ーーアレクシスッ……
「なんでしょうか？」
「話をしよう！！ このままエレノアをウェンスティール国へ帰したくはないんだ……」
どうして今更そんなことを言うの……？
「ごめんなさい。エマが部屋で待っていますし、急いでいるんです……」
「だがエレノアは私を避けているようだし…… このまま離れ離れになるのが嫌なんだッ！！」
そんなふうに言うのはズルいわよ。
気を持たせるようなことを言うのは止めてちょうだい。
「………。」
「どうしても私と話したくないのか？」
黙ったたまま俯く私にアレクシスが優しく問いかける。
「はぃ…… 今は話したくないです」
「そうか…… わかった！！ 今じゃなければいいんだろう。それなら私はまた必ず近いうちにエレノアに会いに行くから、その時は私と話して欲しい。私の話を聞いて欲しい」
ーーなぜそんなに必死になるの……？
リタ様がいてるのに……けど……
「わかりました」
「ありがとう……」
どうしても振り切れないわ。
まだ私……アレクシスを……
「では私は帰り支度がありますので……」
「あぁ、またあとで…… 」
私の腕をアレクシスが静かに離した。
触れられると切なさが溢れてきてしまう……
ーーアレクシス……
♡♡
「滞在期間中は大変お世話になりました。ハリー国王、キャロライン王妃、アレクシス王子！！ 私もエレノアも大変有意義な時間を過ごさせていただきました」
「私達もジョセフとエレノアがいてくれて楽しかったぞっ！！ 寂しくなるな……」
ーー今後お会いすることもないのかと思うと……とても寂しいわ。
「だけど…… エレノアちゃんとは…… ねっ、ハリー？」
また何か始めたわね……
「そうだな！！ きっとまたエレノアを迎えることになるだろう。なぁ、ジョセフ？」
「ええ、そのとおりです！！ そうですよね、アレクシス？」
「は、はい、そうですね……」
お兄様ってどうしていつもアレクシスを巻き込むのかしら？
空気を読んでよ！！
私はもうこのカルテア国に来ることなんてないのよ……
「それではこれで私達は失礼いたします！！」
これで……もう……
「あぁジョセフ、気をつけて帰ってくれ。エレノア、次会う日を楽しみにしているからな」
ハリー国王が大きく私を包み込むような笑顔を向けた。
「今から今度会う時が待ち遠しいわぁ」
キャロライン王妃は柔らかく私を包み込むような笑みを見せる。
ーーしっかりおしっ、エレノアッ！！
笑顔で私らしくするのよ！！
「はい、お会いできるその日を楽しみにしております！！ お世話になりました」
深々と頭を下げて精一杯の作り笑顔を浮かべた。
私……今どんな顔をしているのかしら？
「エレノア……また必ず！！」
ーーアレクシス……
そう言ってるだけで、私になんか会いに来ないわ。
これがアレクシスと会う最後になるのなら、それなら最後は……最後くらいは……笑わなきゃっ！！
笑ってちゃんと言うの……
「さようなら…… アレクシス」
♡♡
ーーウェンスティール国へと帰る馬車の中
「我が妹はさっきからずっと何も喋らんな……」
「………。」
「エ、エレノア様……」
「ハッ、、ごめんなさい。少し考え事をしていて気づかなかったわ。どうしたの、エマ？」
「いえ、先程からジョセフ様がエレノア様に話しかけていたのですが……」
「そぅ……」
正気の入らない声で返事する私に、空気の読めないお兄様が声を上げた。
「こ、これは…… 重症だなーーッ！！！！」
「ジョ、ジョセフ様っ！！」
お兄様の一言にエマがアワアワとしている。
「我が妹よっ！！ 気に病むことはないと言っただろう。アレクシスはあのご令嬢とは何もないさーー」
お兄様って……本当に空気を読まないわよね。
ここでそんな話を私に振ってこないでもらいたいわ！！
口をつむぐ私にお構いなくお兄様は喋り続ける。
「ウェンスティール国へと帰って、レオにステーキでも焼いてもらって食べれば気も晴れるだろう！！」
ムッ、、
何よ、なによーーっ！！
人を食べることしか能のない女みたいに言っちゃって！！！！
どうせ私は色気より食い気しかないわよ！！！！
だから……だから……アレクシスも大人っぽくてお綺麗で色っぽいリタ様がいいんでしょっ……
急に……急に……涙が……溢れてくる。
頬にポロポロと涙が伝う。
「エ、エレノア…… なんで泣いているん
だっ！！ ど、ど、どうしてだっ！？」
「もうお兄様なんて嫌いよっ！！」
「へっ……おいおい、そんなことを可愛い妹に言われたら私のほうが泣きたくなるだろ……」
「ジョセフ様…… 今はそっとして差し上げて下さい」
慌てふためくお兄様を静めるようにしてエマが諭す。
「そ、そうなのか…… だがエレノア、大丈夫っだ。大丈夫だぞっ！！ どんな時でもだな…… 兄が、この兄がついているッ！！」
「………。」
「いや〜〜ウェンスティール国に帰ったらレオにエレノアの大好物のパンケーキでも焼いてもらおうじゃないか！！」
「………。」
「わ、私の分のステーキも食べていいぞっ！！ エレノアはステーキが大好物だからなーー！！」
「………。」
私は口をつむぎ続け、これ以上話しかけないで下さいっ、という目でギロリとお兄様を睨んだ。
けどその後もお兄様は私の鋭い目線も、エマの助言も無視して私に永遠と話しかけ続けた。
感情任せに私がお兄様に八つ当たりしてしまったので、相当動揺させてしまったようね。
この帰りの馬車の中の空気の重たいこと……
みんな……ごめんなさい。
私のせいよね……分かってる。
皆に気を遣わせてしまうだなんて。
あぁ、私はやっぱり子供ね。
でも……今だけは……ごめんね。
ウェンスティール国に帰れば元気になるから。
さぁエマが帰り支度を整えて待っているでしょうから、早く部屋に戻らなきゃ。
朝食を終えダイニングを後にし部屋へと急いで歩いていると、
「エレノアッ、待ってくれ！！」
アレクシスが私の腕を掴んで呼び止めた。
ーーアレクシスッ……
「なんでしょうか？」
「話をしよう！！ このままエレノアをウェンスティール国へ帰したくはないんだ……」
どうして今更そんなことを言うの……？
「ごめんなさい。エマが部屋で待っていますし、急いでいるんです……」
「だがエレノアは私を避けているようだし…… このまま離れ離れになるのが嫌なんだッ！！」
そんなふうに言うのはズルいわよ。
気を持たせるようなことを言うのは止めてちょうだい。
「………。」
「どうしても私と話したくないのか？」
黙ったたまま俯く私にアレクシスが優しく問いかける。
「はぃ…… 今は話したくないです」
「そうか…… わかった！！ 今じゃなければいいんだろう。それなら私はまた必ず近いうちにエレノアに会いに行くから、その時は私と話して欲しい。私の話を聞いて欲しい」
ーーなぜそんなに必死になるの……？
リタ様がいてるのに……けど……
「わかりました」
「ありがとう……」
どうしても振り切れないわ。
まだ私……アレクシスを……
「では私は帰り支度がありますので……」
「あぁ、またあとで…… 」
私の腕をアレクシスが静かに離した。
触れられると切なさが溢れてきてしまう……
ーーアレクシス……
♡♡
「滞在期間中は大変お世話になりました。ハリー国王、キャロライン王妃、アレクシス王子！！ 私もエレノアも大変有意義な時間を過ごさせていただきました」
「私達もジョセフとエレノアがいてくれて楽しかったぞっ！！ 寂しくなるな……」
ーー今後お会いすることもないのかと思うと……とても寂しいわ。
「だけど…… エレノアちゃんとは…… ねっ、ハリー？」
また何か始めたわね……
「そうだな！！ きっとまたエレノアを迎えることになるだろう。なぁ、ジョセフ？」
「ええ、そのとおりです！！ そうですよね、アレクシス？」
「は、はい、そうですね……」
お兄様ってどうしていつもアレクシスを巻き込むのかしら？
空気を読んでよ！！
私はもうこのカルテア国に来ることなんてないのよ……
「それではこれで私達は失礼いたします！！」
これで……もう……
「あぁジョセフ、気をつけて帰ってくれ。エレノア、次会う日を楽しみにしているからな」
ハリー国王が大きく私を包み込むような笑顔を向けた。
「今から今度会う時が待ち遠しいわぁ」
キャロライン王妃は柔らかく私を包み込むような笑みを見せる。
ーーしっかりおしっ、エレノアッ！！
笑顔で私らしくするのよ！！
「はい、お会いできるその日を楽しみにしております！！ お世話になりました」
深々と頭を下げて精一杯の作り笑顔を浮かべた。
私……今どんな顔をしているのかしら？
「エレノア……また必ず！！」
ーーアレクシス……
そう言ってるだけで、私になんか会いに来ないわ。
これがアレクシスと会う最後になるのなら、それなら最後は……最後くらいは……笑わなきゃっ！！
笑ってちゃんと言うの……
「さようなら…… アレクシス」
♡♡
ーーウェンスティール国へと帰る馬車の中
「我が妹はさっきからずっと何も喋らんな……」
「………。」
「エ、エレノア様……」
「ハッ、、ごめんなさい。少し考え事をしていて気づかなかったわ。どうしたの、エマ？」
「いえ、先程からジョセフ様がエレノア様に話しかけていたのですが……」
「そぅ……」
正気の入らない声で返事する私に、空気の読めないお兄様が声を上げた。
「こ、これは…… 重症だなーーッ！！！！」
「ジョ、ジョセフ様っ！！」
お兄様の一言にエマがアワアワとしている。
「我が妹よっ！！ 気に病むことはないと言っただろう。アレクシスはあのご令嬢とは何もないさーー」
お兄様って……本当に空気を読まないわよね。
ここでそんな話を私に振ってこないでもらいたいわ！！
口をつむぐ私にお構いなくお兄様は喋り続ける。
「ウェンスティール国へと帰って、レオにステーキでも焼いてもらって食べれば気も晴れるだろう！！」
ムッ、、
何よ、なによーーっ！！
人を食べることしか能のない女みたいに言っちゃって！！！！
どうせ私は色気より食い気しかないわよ！！！！
だから……だから……アレクシスも大人っぽくてお綺麗で色っぽいリタ様がいいんでしょっ……
急に……急に……涙が……溢れてくる。
頬にポロポロと涙が伝う。
「エ、エレノア…… なんで泣いているん
だっ！！ ど、ど、どうしてだっ！？」
「もうお兄様なんて嫌いよっ！！」
「へっ……おいおい、そんなことを可愛い妹に言われたら私のほうが泣きたくなるだろ……」
「ジョセフ様…… 今はそっとして差し上げて下さい」
慌てふためくお兄様を静めるようにしてエマが諭す。
「そ、そうなのか…… だがエレノア、大丈夫っだ。大丈夫だぞっ！！ どんな時でもだな…… 兄が、この兄がついているッ！！」
「………。」
「いや〜〜ウェンスティール国に帰ったらレオにエレノアの大好物のパンケーキでも焼いてもらおうじゃないか！！」
「………。」
「わ、私の分のステーキも食べていいぞっ！！ エレノアはステーキが大好物だからなーー！！」
「………。」
私は口をつむぎ続け、これ以上話しかけないで下さいっ、という目でギロリとお兄様を睨んだ。
けどその後もお兄様は私の鋭い目線も、エマの助言も無視して私に永遠と話しかけ続けた。
感情任せに私がお兄様に八つ当たりしてしまったので、相当動揺させてしまったようね。
この帰りの馬車の中の空気の重たいこと……
みんな……ごめんなさい。
私のせいよね……分かってる。
皆に気を遣わせてしまうだなんて。
あぁ、私はやっぱり子供ね。
でも……今だけは……ごめんね。
ウェンスティール国に帰れば元気になるから。
