魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
顔はとても熱くなっているけれど……でも、恥をかき捨てるように普段は言えない言葉がすっと出た。
私はここに来る時、彼に自分の背負うものすべてを打ち明け、救ってもらった。自分では変えようがなかったすべての問題を押し付け、肩代わりさせてしまった。
その時と同じではないけれど……もし私が話を聞くことで、ほんのわずかでも背中に背負うものを分かち合えればいい、そんな想いを込めて、私は彼の目をただ見つめる。
「そうか……ならばしばし昔語りにでも付き合ってもらうか。少々長い話になるぞ?」
彼はそう言うと私に座るよう促し、驚愕の事実を語る。
「俺はな……本当は前領主の息子ではないのかもしれんのだ――」
その言葉を皮切りに。
宴から届く楽の音も置き去りにして……私の意識はその後語られるハーメルシーズ家の物語へと引き寄せられてゆく――。
私はここに来る時、彼に自分の背負うものすべてを打ち明け、救ってもらった。自分では変えようがなかったすべての問題を押し付け、肩代わりさせてしまった。
その時と同じではないけれど……もし私が話を聞くことで、ほんのわずかでも背中に背負うものを分かち合えればいい、そんな想いを込めて、私は彼の目をただ見つめる。
「そうか……ならばしばし昔語りにでも付き合ってもらうか。少々長い話になるぞ?」
彼はそう言うと私に座るよう促し、驚愕の事実を語る。
「俺はな……本当は前領主の息子ではないのかもしれんのだ――」
その言葉を皮切りに。
宴から届く楽の音も置き去りにして……私の意識はその後語られるハーメルシーズ家の物語へと引き寄せられてゆく――。