クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「母が聞いたら喜ぶだろうな。俺は、それからすぐに海外に赴任することになっていたから、色々父と打ち合わせすることがあって、日本を離れる前日にも、再び『HPJ』に行ったんだ。そして、奇跡が起きた」


「奇跡?」


「そう、君を見つけた」


「えっ……」


「でも……せっかく君に再会できたのに、あの時の俺は心臓の音が聞こえるくらい緊張して、どうすればいいのかわからなかった」


「そ、そんな、私に対して拓弥さんが緊張するなんて」


「したよ……ものすごく。いきなり初めての女性に声をかけられる程、俺には勇気がなかったし、話しかけて気持ち悪がられるのも嫌だった」


「そんなこと……。拓弥さんを気持ち悪いなんて思うはずありません」


「本当に……苦手だったんだ。女性にどう声をかけたらいいのか、本気でわからないんだ。いい大人が情けないよ」
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