クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

「は、はい。とても優しくてお美しいご婦人でしたから……。あの方は拓弥さんのお母様だったんですか？」


「そう。たまたま通りかかった女性達2人は、そんな母をスルーしたけど、走って駆け寄ってくれた人がいた……それが君」


「あっ……」


「君は、一緒に全部拾って、おまけに優しく肩を支えて母を立たせてくれた」


「……そ、そうでしたね。少しお話もさせていただきました」


「あの後、母は俺に言ったんだ。『ああいう優しい人があなたのお嫁さんならいいのに』って。親切に声をかけてもらったことがとても嬉しかったみたいだ」


母がそんな具体的なことを言うのは初めてだった。


「そんな……こちらの方こそ『お体に気をつけて、お仕事頑張ってね』って、優しく声をかけていただいて嬉しかったんです。あの時のことは、今でもずっと忘れられずにいます」