クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「俺は君に恋をした。あれからずっと、俺は詩穂ちゃんのことが好きなんだ」


美しい瞳が潤み、頬にひとすじの涙がキラリと流れた。澄み切った透明なその涙は、この世の中で1番清らかなもののように思えた。


「そんな……そんなこと……」


かすかに震える小さな声でつぶやき、必死に言葉を紡ぎ出そうとする詩穂ちゃんがいじらしい。


「やっとこの想い、伝えられた」


「う、嘘です! 拓弥さんが私に恋をするなんて、そんなはずないです。ひ、人違いじゃないですか? あの会社には可愛い人や綺麗な人がたくさんいますから。きっと誰かと見間違えたんですよ」


「見間違えるはずがない。そんなこと、あるはずがないよ」


「でも……」


「俺は、本当に詩穂ちゃんのことが好きだよ」


「……拓弥……さん……」


一生懸命涙を堪えている表情が愛おしくてたまらない。
< 150 / 278 >

この作品をシェア

pagetop