クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「好きだと言えば避けられるかも知れないと思って、今まで自分の気持ちを隠していた。だけど、俺は……やっぱり詩穂ちゃんと一緒にいたい」


「……本当……ですか?」


「ああ。曖昧な理由で君の家族に会いにいったのも、君との距離を少しずつ縮めたかったからだ。どうすればいいのか、どう伝えればいいのかわからずに、ずっと惑わせるだけ惑わせて、本当にごめん」


詩穂ちゃんの耳元で囁くように話す。
この心臓の鼓動は、今、リアルタイムに彼女の胸に直接届いている。そう思うだけで、さらに鼓動が早くなるのがわかった。


「謝らないで下さい。拓弥さん、私……今、まるで何かのお芝居を見ているようで、自分のことだとは思えないんです。頭の中で全然整理ができなくて」


詩穂ちゃんは、そう言いながら、俺の腕からするりと抜け出した。
< 155 / 278 >

この作品をシェア

pagetop