クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

「ねえねえ、聞いたわよ。桐生グループのイケメン御曹司が企画部門の課長になったって。私、今日は休みで会えなかったから、明日絶対見にいくね」


瑠香は、同じビルの上の階にある専門職の中の「接客部門」に在籍し、テーマパークで働くスタッフの衣装の管理を担当している。


「そうだね。確かにイケメン……だよ」


私はなぜか、桐生さんが隣に引っ越してきたことを瑠香に言えなかった。


「楽しみだなぁ～。かなりのイケメンなんでしょ？ 何だかドキドキするよね」


「でも、桐生さん……桐生課長には専属の秘書さんがいてね。ものすごく美人だから、狙ったとしても誰も敵わないよ、きっと」


「そんなに美人なんだ」


「うん、かなり」


「え～。でも、美人は性格悪いって決まってるからね。上手くいかないよ、絶対。桐生課長の彼女の座は誰が狙ってもいいはずだし」