クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
瑠香は、太一には答えずに、私に向かって言った。
唇を噛み締め、鋭い目つきで睨まれると、胸が苦しくなる。


「瑠香……」


「聞いたよ、詩穂。桐生課長と結婚するんだってね。うちの課長が、新しく『結婚式』用にニケとニケダンサーズの衣装を作るっていうから、どうしてか尋ねたら、桐生課長と姫川さんの結婚式があるからって」


「……あ、う、うん、ごめんね。なかなか瑠香に話す機会がなくて」


「いくら桐生グループの御曹司だからって、自分達の結婚式に『ハピプレ』を使ったり、衣装まで用意させて、職権乱用も甚だしいわ。おかげでこっちが振り回されてる」


「違うよ、瑠香ちゃん。それは誤解。結婚式は私と将太のためにしてくれるの。たまたま2組同時になったけど、元々は私達が拓弥さんに無理を言って頼んだことなの。本当よ」


真穂が必死にかばってくれた。
太一もいて、こんな楽しい場所で言い合いなんかしたくないのに……
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