クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

「そ、そうなんだね。瑠香、お疲れ様」


心臓がバクバクしているのは、お互い分かり合えないまま今に至っているからだろう。


「先にうちの課長が帰ったから、少し散歩してたの。まさかあなた達に会うなんてね」


「瑠香お姉ちゃん、どうしたの？ 怒ってるの？」


「えっ？」


「た、太一。瑠香ちゃん、怒ってなんかないよ。きっとお仕事だから疲れてるんだよね」


真穂は、太一を抱きしめ、苦笑いで慌てて言い訳をした。


「太一君に嘘はつけないよ。そうだよ、お姉ちゃん、怒ってるの」


「え！！ 『ハピプレ』にいるのにどうして怒るの？｣


太一は、真面目な顔で瑠香を見上げている。
とても純粋な疑問だと思った。


「ずっと一緒に『ハピプレ』のために働いてきたのに、あなただけが桐生課長と幸せになって、私は……」