クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

「亜里の料理は最高だから。ぜひまた来てちょうだいね。私もずっとここにいるから」


「えっ？」


「実はね。私、秘書は辞めるの。代わりに新しくイケメンの男性秘書が入るから。彼は私の推薦よ。かなり仕事ができる男だから。まあ、私の次に……だけどね」


沙織さんは、そう言って笑った。
仕事を辞めることには驚いたし、こういうおちゃめなところも含め大好きな人だったから、何だか寂しい。


「亜里さんと一緒にお店をするのが沙織の夢だったからな。俺が無理やり秘書をお願いしたから……悪かった」


「何言ってるのよ。拓弥には、私も亜里も感謝してるの。あなたの望みを叶えてほしいって、亜里も言ってくれたし、私も同じ気持ちだった。拓弥が落ち着いて仕事ができるようになるまで……って思ってたけど、案外早かったわよね。それもこれも、詩穂ちゃんのおかげよ」