クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
たくさんの愛をありがとう
「ママ~。行ってきます!」


「気をつけてね。行ってらっしゃい」


「行ってくるよ」


「頑張って下さいね。気をつけて」


「ああ」


頬に優しいキス。
唇が当たる感触にキュンとなる。
拓弥さんの顔がすぐ近くに寄るドキドキは、私の毎朝の小さな幸せだ。


いつも幼稚園児の娘と一緒に出かける拓弥さん。
送りは拓弥さん、迎えは私、そう決めてる。
家からすぐ近くにある私立の幼稚園だから、とても助かる。


娘の名前は「莉央」。
嬉しいことに新しい命を授かり、妊娠、出産を経て、今、こうして天使みたいな可愛い娘を見ていると、全てのことに感謝が溢れる。


あれから拓弥さんは副社長になり、日々の業務に追われている。
同じフロアで働くことはなくなったけれど、私もパートとして引き続き企画部に残っている。
娘の子育てと仕事の両立は難しいけれど、拓弥さんと莉央の笑顔があれば何もつらくはなかった。
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