クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「今日、幼稚園で保護者会の役員を頼まれたんだ」


「えっ。拓弥さんが?」


「ああ。今の会長さんに、来年、次の会長を……って」


今の会長は女性で、かなりしっかりした人だ。


「そ、そうなんですね。それで……」


「本当は莉央のために引き受けたかったんだけど、今、新しい海外事業の案件を抱えてるし、これからますます忙しくなるだろうから、毎回の役員会に出ることは実質厳しいと思う」


「……断ったんですか」


「いや、少し考えさせてほしいって。詩穂はどう思う?」


「……正直、大変じゃないですか? 今でもかなり忙しいのに。私は拓弥さんの体が心配です」


毎日、奮闘している様子を目の当たりにしていると、簡単に「頑張って」……とは言えない。


「やるならキッチリやりたいし、すごく悩むな。莉央のために何かできるなら、それはすごく嬉しいけどな……。俺、結婚も、ましてや子どもを持てるなんて思ってなかったから、こんなことができる環境になること自体、幸せなのかなって思えるんだ。今しかできないことなら、1度だけ、引き受けようか……」
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