クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
ある思いが私の頭をよぎった。
拓弥さんは、もし隣の住人が私でなくて瑠香だったとしても、きっと仲良くしていた。たまたま偶然、私が隣人に選ばれただけなんだ――と。


一瞬で胸が締め付けられる。


彼氏を連れていくこともない娘を心配してる両親は、勝手に誤解して「詩穂にもとうとう春が来た」なんて言ってたけれど、拓弥さんが私の彼氏になることは絶対に有り得ない。


様々考えを巡らせると、だんだん気持ちが重くなっていく。


だけど……
同時に、私はこの奇跡ともいうべき出会いに感謝したい。
たとえ、ただの偶然で恋愛感情がなかったとしても、私はもっと拓弥さんのことを知りたい。


自分の想いは隠しながら、ほんの少しずつでいいから、拓弥さんと一緒にいる時間を増やしたい、隣で顔を見ていたい。
あなたを近くで感じていたい。


会いたいよ……
さっきまで一緒にいたのに、もう、あなたに会いたくなってる。


今ならちゃんとわかる。
私は間違いなく、桐生 拓弥さんに恋してしまったんだ――
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