その時はきっと 星空がきれい
第1章
「ねぇねぇ瞬くん。今日の放課後、一緒に映画観に行かない?瞬くんと観たいのがあるんだ~!」

移動教室の途中、そう言ってきた子がいた。
名前は分からないけど多分同じクラスの子。

''女の子は大切に''

親から口酸っぱく言われてきた。
でもそれはどんな誘いも断らない優しさではなく、気持ちがないまま答えることは不誠実だから自分の気持ちには正直でいなさい。そういう意味でもある。だから僕は丁寧にお断りをした。

「階段あるよ、手取って。」
「えっ、優しいね。///私の誘いは断ったのにー!」
「危ないから。」
「手を取って下りるなんてお姫様になったみたい。私たち今カップルに見えるかな?私はそれでもいいけどね!」
「最後の段気をつけて。」
「うん、ありがとう!てか聞いてたー!?」

僕は最後の段を降りたのを確認してすっと手を離した。そして教室に向かった。
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