その時はきっと 星空がきれい


カランカラン____
「いらっしゃいませ、何名様でしょうか。」
「2人です」
そういう男性はスーツ姿がすごく似合う同性の僕でもかっこいいと思う人だった。

今日は雨か、男性の肩が少し濡れていた。
「かしこまりました。ご案内いたします。」
僕と男性に続いてハンカチでパタパタ濡れたスーツを拭いていた女性が後を追ってきた。
僕は2人を席へ案内する。
「ごゆっくりどうぞ」
そういって部屋を出ようとした時、女性と目が合った。
それは間違いなく、僕の会いたい人だった。
僕は思わずサッと目を逸らし扉を閉めた。
心臓がうるさい。
いつもスーツ姿は見ているのに、なんだか今日は普段より大人に見えた。
あの人は誰なのだろう。
すごく嫌な気持ちだ、どうしてだろう。
この感情が理解できないがとにかく心臓が痛かった。
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