【受賞】ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「お客様にご納得いただくのは大事なことです」
「時間をかければいいってもんでもないですよねえ」
にやにやと嫌味を言う萌美を、柚花は笑みを崩さないまま見つめ返す。
「柴原さんはもう少し丁寧な接客を心がけてくださいね」
注意された萌美は不機嫌そうに鼻に皺を寄せ、ぷいっとその場を離れた。
「……深雪山さん、さすが。あの子の伯父さんがこのデパート支配人なのに、ちゃんと注意できるなんて」
パート店員の中枝沙知絵がこそっと柚花に耳打ちする。彼女は二十七歳で、真面目に働いてくれる頼もしい存在だ。
「仕事だから」
柚花は笑顔で返した。
だが、内心ではちょっと気にしている。
噂では彼女はデパート支配人のコネでこの店で働いているというし、柚花や店のことを悪く言われたら会社へも影響しかねない。
だけど仕事なんだから、と柚花は思う。
彼女は仕事をさぼりがちで、接客もいい加減なことが多い。フランクな態度が一部の男性にウケているらしく、何人かの固定客がまるで彼女に貢ぐかのようにジュエリーを買っていく。だが、それで買われた宝飾品は果たしてお客様を幸せにしているのだろうか。
「このお店、目標はあってもノルマもなくて店員が個人で買わなきゃいけないなんてこともないけど、あの子だけがネック」
「そんなこと言わないで、頑張りましょう」
「時間をかければいいってもんでもないですよねえ」
にやにやと嫌味を言う萌美を、柚花は笑みを崩さないまま見つめ返す。
「柴原さんはもう少し丁寧な接客を心がけてくださいね」
注意された萌美は不機嫌そうに鼻に皺を寄せ、ぷいっとその場を離れた。
「……深雪山さん、さすが。あの子の伯父さんがこのデパート支配人なのに、ちゃんと注意できるなんて」
パート店員の中枝沙知絵がこそっと柚花に耳打ちする。彼女は二十七歳で、真面目に働いてくれる頼もしい存在だ。
「仕事だから」
柚花は笑顔で返した。
だが、内心ではちょっと気にしている。
噂では彼女はデパート支配人のコネでこの店で働いているというし、柚花や店のことを悪く言われたら会社へも影響しかねない。
だけど仕事なんだから、と柚花は思う。
彼女は仕事をさぼりがちで、接客もいい加減なことが多い。フランクな態度が一部の男性にウケているらしく、何人かの固定客がまるで彼女に貢ぐかのようにジュエリーを買っていく。だが、それで買われた宝飾品は果たしてお客様を幸せにしているのだろうか。
「このお店、目標はあってもノルマもなくて店員が個人で買わなきゃいけないなんてこともないけど、あの子だけがネック」
「そんなこと言わないで、頑張りましょう」