【受賞】ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
 きっとお酒のせいだけじゃないはずだが、柚花はそう言い切った。仕事で培った営業スマイルを精一杯に活用して笑顔を作る。

「安曇さんはかっこいいですね!」
「ありがとう、うれしいよ」
 対抗しようと言ってみるが、安曇は微笑しただけで、まったくどきっとした様子がなかった。

 自分ばっかり、どきどきさせられている。
 柚花は悔しくてさらに言い募る。

「今日のパーティーだって、いろんな女の人が安曇さんのこと見てました。スーツが似合ってて、イケメンで、私がいなかったらきっと囲まれてましたよね」
「ああ。だからすごく助かったよ」

 やはり、彼にとっての偽装の目的は女避けだったんだ。
 わかっていたことなのに、なぜか胸がずきんと痛む。

「じゃあ、恋人は今日だけで終わりで大丈夫ですよね」
 柚花は言い、彼に背を向けた。言った直後に胸がまた痛んで、そんな顔を彼に見られたくなかったから。

「なんでそんなこと言うんだ?」
 後ろから抱きしめられ、柚花は驚いた。肩口に顔を埋めるようにされてしまい、身動きがとれない。背中からも頬からも彼の体温を感じて、心臓が早鐘を打つ。

「これからずっと一緒にいられると思っていたのに」
「だって……」
 続きは言葉にならなかった。

 一緒にいられると思った? どういうこと?
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