警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる





 帰りの電車に揺られて最寄り駅で降りると、もうすっかり日は落ちていた。
 暗い空の下、家路をたどりながら彼を思い出す。

 犯人逮捕のために――つまりは市民を守るためにあれほど尽力している姿を見て、最初に会ったときの傲慢な印象は消え去っていた。
 下着を見られたくないと恥ずかしがる姿が、普段の彼とのギャップで面白いしかわいかった。

「本当に……私のこと好きになってくれるのかな」
 思わずこぼれた呟きに、苦笑する。

 期待してしまっている自分がおかしくてたまらない。
 しばらく前まではストーカーが怖くて仕方なかったのに、今では真玄のことばかり考えてしまう。

「お料理、もっとうまくならないと」
 くたくたに火を通したものが好きということは、柔らかいものが好きなのだろうか。疲れた彼のおなかに優しい料理はなんだろう。

 うきうきと考えていたから、周囲への注意が散漫になっていた。
 だから自分のあとをつける男がいることに気がつかない。
 車道には車がおらず、歩道を歩く自分の周囲にもひと気はない。

 だだっと走る音に振り返ったときには、キラリと光るナイフが迫っていた。
「きゃああああ!」
 悲鳴を上げて、とっさにバッグを掲げる。
 ナイフはバッグに刺さり、男は舌打ちした。

「ねえ、今の悲鳴?」
「やばくね?」
 男女の声が聞こえ、ナイフを持った男は無言で走り去る。
 小夜歌の呼吸は荒くなり、激しい動悸に心臓が痛くなる。
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