警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
 狙われるのは若い女性だ。夜道をひとりで歩いているところを狙い、切りつけたあとは素早く逃げる。防犯カメラのないところを事前に探しているようで、その姿を捉えたものは少ない上、帽子にマスクをしていて顔がはっきり映っているものはない。

 歩き方を特定する歩容認証で複数の現場近くに同一の人物が現れたことまではわかったが、それをもって犯人と断定することはできない。

 事件を起こせば起こすだけ手掛かりは増えて犯人に近づけるが、それは被害者が増えることとイコールでもある。

 現状の手掛かりだけでなんとか犯人逮捕まで持って行きたい。これ以上誰かが傷付く前に、誰かが大事な誰かを失くす前に。

 犯行は実際、エスカレートしているように思える。とうとう意識不明の重傷者が出るに至った。運よく快方に向かっているが、そのラッキーがいつまで続くかわからない。

 ネットでは犯行宣言の書込みが相次いでいてサイバー犯罪対策課が分析を急いでいるが、真贋を見極めるだけでもかなりの時間と労力を割かれる。

 最近騒がれているAIがこの作業に導入されれば労力の削減とスピードアップにつながる。もっともAIの優秀さが前提だから、データの積み重ねにはまだまだ時間がかかるだろう。

 小夜歌に会いたい。彼女の手料理が食べたい。
 思って、真玄はパソコンを睨むように苦笑した。

 自分が女性にのめり込む日が来るとは思わなかった。
 大学時代には恋人がいたが、めんどくさいばかりで長続きはしなかった。女性よりも勉強のほうが面白く、早く警察官になりたいとばかり思っていた。

 県警に勤めてからは仕事漬けの日々で、女性が言い寄って来ても断っていた。付き合うメリットがないし、好きになれる気もまったくなかった。大学時代のようにめんどくさい女性ばかりだと分析していた。

 当時は親が別の県ではあるが県警本部長であることも災いした。自分とつきあえば将来が安泰だと思った女性がそれなりにいて、めんどくささは倍増していた。
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