警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
 今では偏屈で女に興味がない男として知れ渡っており、露骨なアプローチがないのがありがたかった。
 このまま一生独身でもいい、そう思っていたのに。

 雲雀ヶ丘署で階段に足をかけた小夜歌を見て、全身にびりっと電撃が走った。

 俺はきっと彼女を愛してしまう。

 分析とも予感ともつかないものが思考を占拠し、気がつけば彼女を追っていた。
 彼女には否定したが、思い返してみれば一目惚れ以外のなにものでもない。応援要請もないのに代理で話を聞くなど、無茶苦茶だ。

 一旦は引っ越しを勧めて遠ざけようとしたものの再会後は彼女にひかれる一方で、心は度し難い、と苦笑が漏れるばかりだ。
 彼女をどう落とすか。情報を集めるために肩を抱いてみたり質問をしたり、あえて上半身裸で現れて反応を見ることもあった。
 慣れさせてはいけない。どきどきさせなくては。
 そう思うのだが、むしろ彼女の反応にときめく自分がいた。彼女が照れるのがかわいくてたまらない。

「おい、また通り魔が出たぞ」
 平世が入ってきて、真玄は顔をしかめた。

「間に合わなかったか」
 悔しさが胸に湧く。が、続く平世の言葉にそれすらも吹き飛んだ。
「被害者はお前の彼女だ」

 真玄は思わず立ち上がった。
「ケガは!? どこにいる!?」
「幸い無傷だ。こちらまで来てもらって、今は第一取調室(とりしらべしつ)で話を聞いている」
 刹那、真玄は部屋を飛び出した。
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