眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛



「エルヴィン殿下がいた?どう言うことだよ」

 屋敷に帰ると、ちょうど屋敷を訪れていたフェインに会う。フェインに先ほどの出来事を話すと、フェインは盛大に顔を顰めた。

「分からない。だが、あれは確実に……エルヴィン殿下だったんだね?」

 ヴェルデがローラに尋ねると、ローラは両手をぎゅ、と握りしめて頷く。

「あのお顔は……確かに、エルヴィン殿下と瓜二つでした。本人と言ってもいいくらいの……」
「だけど、まだ本人だと決まったわけでもないんだろ。それに、そいつが言っていた言葉も気になる」

——兄貴たちがローラ姫の命を狙っている。

 エルヴィン殿下本人ではなく、その兄たちが命を狙っているというのはどういうことだろうか。それに、エルヴィン殿下は当時第一王子で長男だ。異母兄弟で兄がいるというのは聞いたことがない。

 ローラに気づいた時の表情もおかしかった。まるで信じられないものを見るような、でも初めて目にしたとでもいうような不思議な顔をしていたのだ。

「あの商人たちについて調べる必要があるな」
「俺も協力するよ」

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