眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
 次々とローラの周囲を令嬢が取り囲み、ヴェルデたち男性陣はいつの間にかその山の外にいた。

「すごいな、ローラ」
「ローラ嬢が話している間、御令嬢たちはみんなうっとりしていたからな」

 フェインとレイナーが苦笑していると、ヴェルデは令嬢に囲まれるローラを見て嬉しそうに微笑んでいる。

「なんだか嬉しそうだな、ヴェルデ」
「ローラにこの時代の御令嬢の友達ができるのはいいことだよ。ローラの世界が広がる」
「へえ、俺はてっきり御令嬢たちにもやきもちを焼くのかと思ってたけど」

 フェインの揶揄いにヴェルデはムッとする。だが、すぐに顎に手を添えて考え込み出した。

「確かに、ローラと一緒の時間が御令嬢たちに奪われてしまうのは少し困るな……」

 ブツブツと独り言をいうヴェルデを見て、フェインとレイナーはまた苦笑した。

「ヴェルデ様」

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