眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛




 客室に通されると、そこにはセミダブルのベッドがひとつだけだ。いつも一緒のベッドに寝てはいるが、ヴェルデの屋敷では寝室にあるベッドはクイーンサイズ。セミダブルでは一緒に寝るといつもより距離が近い。

(ど、どうしましょう、一緒に寝るとなるといつもより近くて緊張してしまう)

 ローラがベッドを眺めながら固まっていると、ヴェルデは近くにあったソファに腰を掛ける。

「ローラ様はベッドで寝てください。俺はここで寝ます」

「えっ、そんな……!」

「いつもより狭いベッドでしょう。ローラ様も窮屈になってしまいます。大丈夫、明日には屋敷に帰りますし、一日くらいソファで寝ても平気です」

 にこっと微笑むとヴェルデはソファに横になり、ローラに背を向けた。そんなヴェルデを見て、ローラは少し寂しさを感じる。

「ヴェルデ様……一緒に、寝てはくださらないのですか?」

 ローラの言葉に驚き、思わず飛び起きて振り返ると、ヴェルデはローラの顔を見てドキリとする。その顔は寂しそうな苦しそうな、それでいて何かを求めるようなそんな複雑な表情だった。

「ローラ様……まいったな、正直に言います。そんな狭いベッドで一緒に寝たら、俺が我慢できなくなってしまいうんですよ。言っている意味、分かりますよね?」
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