ロマンスに心酔



シャワーを浴びながら、きょうのことを振り返る。


「(せんぱいが、彼氏⋯⋯)」


夢みたいだ。

ずっと憧れだった、遠くにいたひとが、いちばん近くにいるひとになった。

せんぱいのせいで熱が上がりそうだ。


恋人としての距離感はまだ掴めない。

胸を張って隣に立つことも、しばらくは難しいかもしれない。

けれど、自分の限界まで頑張るわたしのことを、せんぱいは必ず見てくれていて、褒めてくれる。

いつまでも先を走るせんぱいの背中を追いかけ続けられるのも、幸せなことなのかもしれない。


お風呂から上がると、河野さんから連絡が来ていた。


───“おつかれさま。体調どう?仕事、何とか回りそうだから、あしたも家でゆっくり休んでね。また来週からばりばり働いてもらうので、よろしく”


あしたは金曜日だから、通常業務も多いはず。

“何とか回る”というのは本当にぎりぎりなのだろう。

それなのに、こうした連絡をくれる河野さんには頭が上がらない。


“おつかれさまです。だいぶ良くなりました。ありがとうございます、ではお言葉に甘えてお休みさせていただきます。来週からは馬車馬のごとく働くので、よろしくお願いします”


新人のときから、河野さんには何度も助けていただいている。

来週、ランチをご馳走しよう。


少し躊躇しながらも朝のアラームを解除し、ベッドに入った。

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