まがりかどは、秋の色
おそるおそるおうちにお邪魔すると、玄関先に赤髪おさげがついた麦わら帽子が飾ってあった。


本好きの飾る赤髪、おさげ、ときて、麦わら帽子なら多分これしかない。


「これ、カナダのお土産ですか!?」


ばっと振り向くと、目が合った本多さんが勢いにびっくりした後、小さく噴き出す。目きらっきらじゃん、と笑われた。


「両親がツアーで現地に行ったことがあって。結構前のお土産だから、だいぶ古びちゃってますけど」


最高のお土産だ。最高のおうちだ……!


「わたし、小学生の頃に一巻を絵本で読んで、続きが読みたくて全巻揃えたんですよ」

「それは頑張りましたね!? 思い出のお話なんですね」

「そうなんです〜! うわー!」


この帽子の元になったお話は、いろいろな会社から文庫本が出ている。

カバーの水彩が一際きれいな絵に惹かれ、とある出版社を選んだ。


初めて一人で本屋さんに行き、お会計を待つ列に並ぶ間さえわくわくして、そっとカウンターに置いた。

ブックカバーを選ばせてもらい、一つずつかけてもらった。


きれいで、楽しくて、大事な宝物のシリーズは、実家にとってある。


小さい頃、実際に舞台になった場所があると知ってから、行きたいと思い続けて早幾年。まさか、人のおうちにお邪魔して、行きたい気持ちが強くなろうとは。


「かぶってみますか?」

「えっいや遠慮します! いつか自分で行って、柳の下でかぶりたいんです」

「じゃあ、いつかのためにとっておきましょう」


楽しげに笑われたので、「はい!」と元気よく返事をしておいた。
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