まがりかどは、秋の色
依頼者は、いつも複雑に髪を編み込んでいる女の子。

お母さんが毎朝丁寧にやってくれるのだという。手のこんだ髪型から、大事にされているとひと目で分かる。


真っ直ぐなその子の顔を、二人で思い浮かべながら話し合った。


まだ幼稚園に通う、小学生のお姉ちゃんと一緒に文庫に来る幼い女の子には、最近、妹ができたらしく、かわいいかわいいとよく話している。それもかわいい。

まだ文字をすらすら読めなくて、平仮名を一生懸命指で追うのもかわいい。


最終的には、優しい眼差しの、妹を大事にするお姉さんが出てくる本を選んだ。


始めは昔からある有名どころも話題に上がったのだけれど、そういう本は、当然文庫に置いてある。だから、なるべく最近出版されたものに絞ったのだった。


「決まってよかった。選ぶのに付き合ってくれてありがとう」

「こちらこそ、今日はどうもありがとう。いろいろ見て回ってたら、牛乳を買いたくなってきちゃった」


始めに候補に上がった懐かしい本は、わたしの好きな本。お金を握りしめて、女の子がおつかいにいくお話。


「赤い紙パックの牛乳ね」

「そう。懐かしくって懐かしくって」

「俺、牛乳って大抵青いパックだったんだよな」

「わたしは大抵赤だった」


いいなあ、と相槌を打った本多さんが、ちらりとスマホの時間を見た。
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