ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 3人ともスパニッシュオムレツをペロリと平らげて、そのあとも美味しいお酒と楽しい会話をたっぷり堪能。たくさん笑ったから、頬が筋肉痛になりそうだわ。

 やっぱりMISTEROは、私にとって特別な場所。いつ訪れても、穏やかで優しい時間を過ごせる。

 思いきってマンションを買ったからこそ、このお店とマスター、そしてガクくんとの出会いがあった。そう考えると、これまで自分がやってきたことに、ほんの少しだけ自信を持てる気がする。

「彩女さん、お待たせしましたぁ。さ、帰りましょ!」

 仕事を終えたガクくんと、手をつないで家路につく。

 凛子と凌也は終電があるから先に出たけれど、ふたりともMISTEROを気に入ってくれたみたい。凌也なんて、マスターと新米パパトークがしたいと言って連絡先を交換していたし。

「とってもいい人ですね、凛子さんと凌也さん」
「うん。自慢の友人よ」
「そういう人に出会えるのも、彩女さんの人徳ですよ」

 ガクくんはいつも、こうやって私をおだててくれる。毒舌なときも多いけれど、私が言われて嬉しいことを、きちんと把握している感じ。

「大切な人たちに、ガクくんを紹介できて嬉しいな」
「えへへ。僕も彩女さんの大切な人たちとお話できて、すごく嬉しかったです」

 つないだ手に力を込めて、ガクくんが少し体を寄せてきた。
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