ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 だからこそ余計に、彼が望むことはできるだけ叶えてあげたいと思う。もちろん無条件で甘やかすのはよくないから、家事労働の対価として、だけど。

「そうね。癒される代わりに、私はあなたに衣食住不自由ない生活を提供するわけだし、ギブ&テイクね。だから、ガクくんも遠慮は禁物。分かった?」
「はーい、ご主人さま」
「外で言わない!」

 世間的に見て褒められた関係でないことは、承知の上。だからこそ、きちんとお互いの利益を明確にしておきたかった。

 それに与えるもの、与えられるもののバランスも大切。それが崩れたら、きっとこの関係も終わってしまう。利害が一致しているからこそ、成り立つものだから。

「あ、これこれ! この椅子が欲しいです!」

 お目当てのゲーミングチェアを見つけて、ガクくんのテンションが上がった。
 
「確かに、値段の割には結構よさそうね」
「でしょ? だから、これがいいんですよ」

 本当に満足そうな表情。私がもっとお金を出せると分かっていても、高いものをむやみに選ばないんだもの。自分は怠けて、人に依存したいだなんて思っていないはず。
 
 それにやっぱり、コロコロとよく変わるガクくんの素直な表情を見ると、心が潤っていくのを感じる。

 ひとりで生きていくつもりだったのにな。だけど彼がいれば、私の生活はもっと楽しいものになる。そんな予感がしていた。
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