ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「別に、遠慮しなくていいんだからね?」
「遠慮なんてしていません。僕は、自分の身の丈に合ったものを使いたいだけです。それに僕の身の回りのものにお金をかけるより、彩女さんの贅沢に使うほうがいいと思うし。彩女さんが、頑張って稼いだお金なんだから」

 なるほど、そういう考え方なのね。やっぱり、しっかりしているじゃない。どうして働きたくないなんて言っているのかしら。

 怠惰な性格をしているわけではない。だって昨日のフレンチトーストは、とても心がこもっていたから。
 今朝だって、残っていたサラダとお肉と食パンで、サンドイッチを作ってくれたし。面倒くさがりで怠け者なら、そんなことはできないはず。

 彼はいつも本心を語っているようで、どこか大切な部分をぼやかしているように感じる。だけど、それを無理に聞き出そうとは思わなかった。

「遠慮しているわけじゃないなら、いいんだけど。変に気を遣わないでね。調べてみたら、住み込みの家政夫の月給相場は35万から50万だというし。それだけのことをしてもらうわけだから、あなたが必要なものはちゃんと買うわ」
「僕は家政夫じゃありませんよ。家事が得意な、ただのペット。だから、彩女さんを癒すのが役目です」

 確かに、癒されているのは間違いない。部屋が綺麗になったり美味しい手作り料理が食べられることだけじゃなくて、ガクくんの存在自体に安らぎを感じているもの。
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