ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「ほらほら、はやくー」

 お手並み拝見と言わんばかりの表情で微笑むガクくんに見守られながら、店内を回る。

 私なりのカジュアルと言われても……とりあえず、パーカーさえ着ておけばカジュアルかしら。

 え、パーカーの種類、多すぎじゃない? プルオーバーとジップアップ……ロングやショート丈もあるのね。色も豊富すぎる。

「選んだら試着してみてくださいねー」

 うう。仕事のプレゼンより、プレッシャーを感じるわ。

 でも、落ち着いて整理しよう。カジュアルってことは、私がいつも参考にしているファッションと真逆にすればいいのよね。普段の服の特徴を分析して、反対の雰囲気のものを選べばいいはず。

「じゃあ、これとこれで」
「……はい、じゃあフィッティングルームへ行きましょう」

 なんとかトップスとボトムスを選んでガクくんに見せると、彼は一瞬じっと凝視したあと、フィッティングルームへと向かった。なにか言いたげな視線だったんだけど……。

 いやいや、大丈夫。爽やかカジュアルなはず……と思ったのに、実際に着てみるとなにか違う。どうして、こんなに垢抜けないの?

「彩女さーん、着ましたー?」

 カーテンの向こうからガクくんが急かす。

「な、なんかちょっと、違うかも」
「いいから、そのまま見せてくださいよ」
「でも」
「はーやーくー」

 仕方なくカーテンを開けると、ガクくんは私の全身をじっくり見て頷いた。
< 48 / 278 >

この作品をシェア

pagetop